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サントリー「やってみなはれ」で挑むD2C、Shopify Plusプランと実現するEC改革

日本有数の飲料メーカーとして知られるサントリーホールディングス。長年にわたり卸・小売を中心としたビジネスモデルで世界的にも強固なブランドを築いてきた同社は、いま社内横断での変革に挑んでいます。その中核となるのが、D2C事業の強化です。

サントリーが掲げる「やってみなはれ」精神のもと、試行錯誤を重ねながらECに関する知見を蓄積してきました。2024年には、清涼飲料分野における本格的なD2Cとして「サントリー食品オンラインストア」を立ち上げ、同社グループであるとんかつ専門店ブランド「とんかつ まい泉」やワイン事業「ヴィノスやまざき」はじめ、現在では13を超えるECサイトを展開しています。

こうした取り組みを支えるのが、ShopifyのPlusプランを活用したEC戦略です。それぞれの事業の個性を活かしながら、共通の仕組みに基づいた運用によって、効率的でスピード感のある展開を実現しています。

【ShopifyのPlusプラン導入による成果】

  • EC初期投資がスクラッチ開発の10分の1以下に削減
  • 「とんかつ まい泉」年間ShopifyEC売上2.5倍を実現
  • カスタマイズのスピード&コストを数分の1に削減

今回は、この取り組みを牽引するデジタル本部 デジタル推進部 課長の有村遊馬氏に、D2C推進の背景やShopify導入の狙い、そしてECを「やってみる」から「事業として伸ばす」フェーズへと進化させていく過程について、詳しくお話を伺いました。 


サントリーホールディングス株式会社 デジタル本部 デジタル推進部 課長 有村遊馬氏

D2Cビジネスに“やってみなはれ”精神で挑戦

サントリーホールディングスは、長年にわたり卸・小売を中心としたモデルで強固なビジネスを築いてきました。しかし近年、国内市場の伸び悩みや物流コストの高騰、マーケティング環境の変化などを背景に、顧客と直接つながるD2Cビジネスへの関心が社内で高まり始めました。

その流れが本格化したのは、今から4〜5年前のことです。同社に根づく“やってみなはれ”の精神も追い風となり、「D2Cに挑戦してみよう」という前向きな空気が社内に広がっていきました。

「社内でもD2Cがバズワード的に語られ始めた頃でしたが、着手した理由はそれだけではありません。清涼飲料のようにコモディティ化が進む分野では、高単価で付加価値のある商品の届け方が課題でしたし、ファーストパーティーデータの重要性も増していました。D2Cが選択肢として自然と浮かび上がってきたのです」(有村氏)

とはいえ、いきなり主要事業で本格展開するのは現実的ではありませんでした。そこで同社は、社内の新規事業コンテストから生まれたブランドや小規模ブランドを対象に、20件以上のD2Cプロジェクトを立ち上げ、テストを重ねていきます。

「最初は売上目標も明確に設定されておらず、『やってみる』というフェーズでした。サントリーグループにおけるDX機能部門である我々は通常、事業オーナーの役割を担うことは少ないです。ただ、ECへの知見を組織として蓄積する必要がありましたから、自分たちで『RR COFFEE』や『table trip』といったブランドを立ち上げ、ECサイトを構築し事業運営していきました」(有村氏)

EC初期投資がスクラッチ開発の10分の1以下に削減

D2Cへの取り組みを進める中で、サントリーが選んだのがShopifyのPlusプランでした。最初は小さなテストプロジェクトから導入を始めましたが、その中でShopifyの構築のしやすさや柔軟性が評価され、やがて社内でも標準的な選択肢として定着していきます。

特に初期に注目されたのは、スクラッチ開発とのコスト面での大きな違いでした。過去にスクラッチ開発でECサイトを構築した際には、初期開発だけで約8000万円、さらに年間数千万円の保守費用がかかり、5年間で3億円近い投資になりました。一方、ShopifyのPlusプランであれば、立ち上げ費用は10分の1程度に抑えられ、運用負荷や保守費用も大幅に削減できました。

もうひとつ大きなポイントとなったのが、自分たちで機能が追加できる柔軟性でした。スクラッチ開発では、文言の修正にも外部ベンダーの対応が必要で、ちょっとした改修にも関わらず、反映に1カ月以上かかることもありました。Shopifyなら、管理画面から自分たちで修正や設定が可能で、スピーディな施策実行が可能になりました。

「従来のスクラッチ開発に比べて、Shopifyは初期費用が10分の1以下で済みました。さらに、カスタマイズにかかるスピードやコストも3〜5分の1程度に削減でき、現場の判断で改善を回せます。導入していく中で、これは確実に『使える』と感じました」(有村氏)

特に、事業ごとに異なるブランドを展開するサントリーにとって、複数ストアへの展開のしやすさも大きな魅力でした。設計や運用ルールをテンプレート化しやすく、ひとつの仕組みを他ストアへ横展開しやすい点が、社内理解や展開スピードの向上につながっています。有村氏は、「裏側の構造が共通しているので、『あのストアと同じ仕組みです』と説明すれば、社内でもすぐに伝わります。運用負荷を抑えながら、スピード感のある展開ができました」と力を込めます。



サントリーホールディングス株式会社 デジタル本部 デジタル推進部 課長 有村遊馬氏

加えて、グローバルで広く活用されているプラットフォームであることも安心材料でした。日本で構築した仕組みを各国でも活用できる拡張性があり、将来的な海外展開を見据える上でも大きなメリットとなります。

こうしたShopifyの特徴を最大限に活かしながら、「D2Cスタジオ」と呼ばれる専門チームを設立。数名のコアメンバーが各事業部と連携しながら、ECサイトの設計や社内調整、ナレッジの展開を担っています。そして、試行錯誤を重ねながらD2Cを「試すフェーズ」から「育てるフェーズ」へ進化させています。

「80点でいい」 Shopifyとともに変わった社内文化と仕組み

D2C事業の本格展開にあたり、サントリーはECサイトの構築にとどまらず、商品設計、業務プロセス、社内体制そのものをD2C仕様へと再設計していきました。特に印象的だったのは、Shopifyの特性を活かしながら、業務や価値観そのものを柔軟に進化させていった点です。

「初期に構築したストアでは、社内システムと既存オペレーションにできるだけ合わせてカスタマイズしたのですが、結果的にシステムが複雑化してしまい、保守や改修対応のコストがかさんでしまう状態になってしまいました。初期開発時に想定しきれなかった挙動やデータによるトラブルも多く、運用もうまく回らなかったんです。そこから反省して、Shopifyの標準の仕様に、組織自体を合わせる設計に切り替えていきました」(有村氏)

この経験を経て、Shopifyを前提とした設計・運用のスタイルが社内に浸透しています。完璧な100点を目指して時間をかけるより、「まずは80点の状態で実行に移してから改善を図る」という意識改革が組織全体に浸透したことで、施策実行のスピードが格段に早まりました。迅速なPDCAサイクルの確立により、市場変化への対応力も格段に強化されました。

また、Shopifyの強みである豊富なアプリを活用するために、社内ルールとの整合も重要でした。特にサントリーのセキュリティ審査は厳格で、 アプリ導入にも数週間の承認プロセスが必要となるケースがありました。

この課題に対して、Shopifyのアプリがすでに高いセキュリティ基準をクリアしていることに着目。「あらかじめ検証済みであること」を社内に提示し、Shopifyの信頼性を活かした合理的な審査フローに整備することで、承認プロセスの迅速化を実現していきました。

「セキュリティ面は妥協しませんが、審査は合理的に行うようにしています。事業担当者がストレスなく施策を進められるよう、あらかじめ動かしやすい体制を整えているんです」(有村氏)

こうした文化的・制度的な最適化と並行して、ShopifyのPlusプランの標準機能や、外部アプリとの連携を活かした運用が進められています。そして、その集大成ともいえる形で、2024年に立ち上がったのが「サントリー食品オンラインストア」です。清涼飲料という基幹事業における本格的なD2Cとして展開されています。


サントリー食品オンラインストア。オンラインストア限定商品や、賞味期限が近くなった商品なども数量限定で提供している。

CV率・業務効率・顧客体験を高める、Shopify活用術

サントリーでは、ShopifyのPlusプランの機能や豊富なアプリを活用することで、CV(コンバージョン)率の向上、業務効率の改善、顧客体験の最適化といったD2Cビジネスに欠かせない成果を実現しています。以下にて、特に活用している機能とアプリを紹介します。

チェックアウトカスタマイズでCV率向上:

全ストア共通でチェックアウト画面のカスタマイズを実施。EC(電子商取引)関連法への対応や社内標準文言の反映をスムーズに行い、コンバージョン率や利便性の向上につなげています。

Shopify Flowによる業務自動化:

入力ミスのアラート通知、在庫の閾値管理、送料設定ミスの検出などを自動化。人的ミスを防ぎながら、業務の効率化を実現しています。手作業の確認工程を減らし、人的ミスを防ぐ仕組みを整備しました。

CRM推進による関係強化:

CRMツール「Klaviyo」や定期購買アプリを導入し、顧客との継続的な関係構築を強化。さらにLINEとの連携により、LINEブラウザ内で購入を完結させるようなユーザー体験の最適化についても検討を進めています。

オンライン広告とのスムーズな連携:

ShopifyとMeta広告、Google広告を連携させ、効果測定や広告出稿の自動化を推進。広告経由のユーザー行動分析も行いながら、施策の最適化が行いやすい体制が整いつつあります。

LINEのプッシュ通知による売上増加:

サントリーの公式LINEアカウントは、4000万人近いフォロワーを抱えています。スクラッチ開発したECサイトでは、LINEをはじめとする各コミュニケーションで一斉配信すると、アクセス集中によるサーバーダウンが課題でした。しかし、Shopifyへ切り替えてからは、サーバーの安定性が向上。プロモーション施策の設計や実行タイミングの自由度が大きく向上し、アウトレット商品や新商品の情報をLINEで一斉配信し、在庫の最適化や製品廃棄の削減にもつながっています。

こうした一連の取り組みを通して、Shopifyの魅力を実感しているという有村氏は、「最大の強みは、そのエコシステムの柔軟性にある」と語ります。

Shopifyでは、スマホアプリのように必要な機能をアプリストアから自由に追加できます。世界中の開発会社が日々アップデートを競い合っており、私たちも常に新しい手法に挑戦できる環境が整っています。Shopifyの導入以降、“まずやってみる”という姿勢が根づき、担当者の心理的なハードルも下がり、モチベーション高く改善に取り組めるようになっています

サントリーホールディングス株式会社

有村 遊馬氏 — デジタル本部 デジタル推進部 課長

年間売上2.5倍、根付き始めたD2Cの成果と成長

サントリーのD2C事業は、試行錯誤から始まり、現在では「サントリー食品オンラインストア」やとんかつ専門店ブランド「とんかつ まい泉」、ワイン事業「ヴィノスやまざき」など、13を超えるECストアをShopifyで稼働させています。

とんかつ専門店ブランド「とんかつ まい泉」オンラインショップ

Shopifyを共通の基盤に、各ブランドでの取り組みが着実に軌道に乗り、社内でも手応えを感じられる場面が増えてきました。

特に、とんかつ専門店ブランド「とんかつ まい泉」では、D2Cスタジオの伴走支援のもとで戦略的な改善を行い、2023年から2024年の1年間のShopify売上が約2.5倍に伸長しました。また、「サントリー食品オンラインストア」でもさらなる飛躍を目指した挑戦が進行中です。

【ShopifyのPlusプラン導入による成果】

  • EC初期投資がスクラッチ開発の10分の1以下に削減
  • 「とんかつ まい泉」年間Shopify売上2.5倍を実現
  • カスタマイズのスピード&コストを数分の1に削減

このような柔軟な運用環境のもとで、D2Cの文化は社内にも定着しつつあります。事業部側からD2Cスタジオへの相談も活発になり、「やってみなはれ」の精神が、徐々に全社に広がり始めています。

そしていま、有村氏が見据えるのは「サントリー流D2Cモデル」の確立です。長年培ってきた卸流通ネットワークと、自社ECによる顧客接点を掛け合わせ、オンライン販売にとどまらない、新しいD2Cのかたちを描こうとしています。

「商品コンセプトの段階からD2Cに適した設計を行い、出口戦略までを一貫して構想したいと考えています。スマートフォンのアプリが10年で生活を変えたように、ECでも同じような進化が起きている感覚があります。私たちもその流れにしっかり乗っていきます」(有村氏)

サントリーは“やってみなはれ”の精神を原動力に、一歩ずつ着実に、自社ならではのD2Cのあり方を築きつつあります。

Branche

Lebensmittel und Getränke

Produkte

Shopify Plus, Shopify Flow, Checkout
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