この10年間、Eコマースの売上は毎年増加しており、消費者のオンライン支出は現在5.7兆ドル(約832兆円)を超えています。オンライン市場で収益を得たいと考える企業が増えているのも当然です。オンライン市場に参入するには、どの製品カテゴリーが需要があるのかを知ることが重要です。
この記事では、世界とアメリカにおけるオンラインショッピングの動向を例に、収益別の人気カテゴリーを見ていきます。このデータを活用して、ECビジネスを成長させましょう。
オンラインショッピングの人気カテゴリーを理解する
オンラインショッピングの人気カテゴリーを理解するためには、カテゴリーが生み出す収益の額と、その人気度という、2つのデータポイントを考慮することが重要です
人気が高まっているEコマースのカテゴリーは、たとえまだ収益がそれほど高くなくても、賢い投資となる可能性があります。一方で、高い収益を上げているカテゴリーであっても、その人気が衰え始めていることが表面化しておらず、ビジネスリスクをもたらす場合もあります。
何がトレンド商品になっているかに注目することも、企業にとって非常に重要です。ヒット商品によって類似商品への関心が高まり、製品カテゴリー全体の収益が向上する可能性があります。
次に、世界とアメリカでの収益別の人気カテゴリーを例に、過去1年間に大きな収益変動があったカテゴリーを見ていきましょう。
収益別のオンラインショッピング人気カテゴリー:世界
電子機器
9,225億ドル(約135兆円)の支出が見込まれる電子機器は、世界のEコマース売上の重要な部分を占めています。このカテゴリーの強みは、スマートフォンなどの生活必需品から、ドローンやスマートホームガジェットなどのニッチな商品まで、幅広い製品ラインナップです。
ファッションとアパレル
ファッションとアパレルは、オンラインショッピングの人気カテゴリーの中で2位にランクインしています。今年、消費者はファッション関連商品に7,600億ドル(約111兆円)を支出すると予想されています。ファッションのドロップシッピングが増えたことで、起業家がオンライン衣料品ストアを立ち上げやすくなり、既存の衣料品ブランドはコラボレーションの新たな機会を見出しています。
食品
食品は、4,601億ドル(約67兆円)の売上が見込まれており、常に人気の高いEコマースショッピングカテゴリーです。オンラインでの食品購入の便利さとデリバリーアプリの普及により、消費者の食品購入方法は大きく変化しました。
飲料
飲料は、収益が2,487億ドル(約36兆円)に達すると予想され、オンラインショッピングカテゴリーの中で4位にランクインしています。クラフトビール、お茶、プレミアムコーヒーの人気は、消費者が独自性のある高品質な飲料を好む傾向を示しています。
DIYとハードウェア
DIYとハードウェア製品もオンラインで売れています。消費者は住宅リフォーム用品に2,202億ドル(約32兆円)を支出すると予想されています。製品を比較し、レビューを読んで検討し、重いアイテムを配達してもらえるという便利さは、このカテゴリーにおけるオンラインショッピングの大きな利点です。
家具
家具はDIYとハードウェアに次ぐ順位で、収益は2,201億ドル(約32兆円)に達すると予想されています。直販ブランドの台頭は、業界に変革をもたらしています。中間業者を排除することで、マットレス会社、家庭用家具供給業者、高級デザイナーは、高品質な製品をより低価格で提供できるようになり、オンラインでの家具購入は消費者にとってますます魅力的な選択肢となっています。
メディア
メディアは7位にランクインしており、収益は1,939億ドル(約28兆円)に達すると予想されています。
美容とパーソナルケア
美容・パーソナルケア商品は、1,696億ドル(約25兆円)の収益を生み出すと予想されています。新しい成分や価格帯、あるいはニッチなスキンケア製品を提供できるブランドは、このカテゴリーで成功することが多いです。
タバコ製品
タバコ製品は今年、1,166億ドル(約17兆円)の収益が見込まれています。電子タバコやベイプといったタバコの代替品の普及は、タバコ産業がオンライン消費者の好みや規制上の課題に応じて進化していることを示しています。
おもちゃと趣味用品
おもちゃと趣味用品は、898億ドル(約13兆円)の収益が見込まれ、10位にランクインしています。オンラインでのおもちゃや趣味用品への需要は、教育用おもちゃ、コレクターズアイテム、工作用品によって支えられています。
収益別オンラインショッピング人気カテゴリー:米国
米国における主要なEコマースショッピングカテゴリーは、世界的な傾向と似たような傾向を示しています。米国内では次のとおりです。
- ファッションは、米国の消費者の間で最も収益を上げるカテゴリーで、年間収益は162.9億ドル(約2兆3,783億円)が見込まれています。
- 食品が2位にランクインし、125.6億ドル(約1兆8,338億円)の収益が予測されています。
- 電子機器が3位と続き、収益は120.1億ドル(約1兆7,535億円)に達すると予想されています。
- 飲料は、111.6億ドル(約1兆6,294億円)の収益を生み出すと見込まれています。
- DIYとハードウェア製品は5位にランクインし、収益は108.6億ドル(約1兆5,856億円)と予測されています。
- 家具の収益は74.5億ドル(約1兆877億円)に達すると見込まれています。
- メディアは37.7億ドル(約5,504億円)の収益が予測されています。
- 美容とパーソナルケア商品は28.4億ドル(約4,146億円)の収益を生み出すと見込まれています。
- おもちゃと趣味のアイテムは21.2億ドル(約3,095億円)の収益が見込まれています。
- 高級品が10位で、収益は14.9億ドル(約2,175億円)と予測されています。
最も人気のあるオンラインショッピングカテゴリー
オンラインショッピングカテゴリーを人気度で見ると、少し異なる結果が見えてきます。総収益ではなく、年間収益の変化でランク付けすると、世界のトップ5のショッピングカテゴリーは次のとおりです。
食品
食品カテゴリーは、2020年に51.6%の急成長を遂げました。これは、コロナ禍中に食料品の購入がオンラインに移行したことよるものと考えられます。その後の年で成長率は鈍化しましたが、食品は依然として人気のあるカテゴリーで、現在の成長率は24.1%と予測されています。
家庭必需品
家庭必需品も2020年に39.6%の大幅な成長を見せ、コロナ禍における必需品の需要の高まりを反映しています。成長率は安定しており、22.2%の増加が見込まれています。
飲料
オンライン飲料販売は18.9%の成長が期待されています。
電子機器
2022年に収益が減少した後、オンライン電子機器の収益は年々成長しています。2024年には18.1%の成長が見込まれています。
家具
家具カテゴリーは、今年17%の成長が期待されており、オンラインでの家具購入への関心が続いていることを示しています。
オンラインショッピングのトレンドをビジネスに活かす方法
オンラインビジネスは、常に最新のトレンドを取り入れることで存在感を保つことができます。この記事で紹介したトレンドを取り入れることで、日本市場でもブランド認知の強化を目指せます。消費者ニーズに応じて商品ラインナップを柔軟に調整し、コスト削減とブランド価値の向上を同時に実現していきましょう。
製品の人気を表すデータを効率よく活用するためのポイントをご紹介します。
成長分野を試す
多くの企業は、オンラインストアを特定の製品カテゴリーに最適化することで成功を収めています。これにより、ターゲットオーディエンスに専門的なサービスを提供できるようになります。しかし同時に、ニッチなオーディエンスの規模によって、ビジネスが制限されることもあります。
ニッチな製品分野を超えて拡大する方法の一つは、オンライン販売サイトなど追加の販売チャネルを通じてトレンド商品を提供することです。EtsyやeBayといったマーケットプレイスは、ブランドやウェブサイトの最適化を損なうことなく、成長分野への参入を試みたい企業にとって特に役立ちます。
たとえば、クラフト用品の品揃えが豊富なことで知られる企業であれば、地元のコミュニティで作られたハンドメイド商品を幅広く提供して事業を拡大したいと考えるかもしれません。その場合、まずはEtsyのようなプラットフォームにこうした商品を掲載すれば、ウェブサイトを全面的に改修することなく、新しい市場を試すことができます。
製品リサーチを通じて市場の需要を理解することも、企業が製品提供を整合させるために重要です。たとえば、Googleトレンドなどのツールを使用して人気のある家庭用フィットネス製品を特定し、その需要に応じて類似製品を調達または作成することができます。
ショッピング体験をパーソナライズする
パーソナライゼーションは、主要な製品カテゴリー内で競争する際に注目を集めるもう一つの方法です。企業は消費者データを活用して買い物客の好みを理解し、ショッピング体験をパーソナライズできます。
パーソナライズされたマーケティングや店舗デザインは、ターゲットを絞ったメールキャンペーンや、顧客の閲覧履歴・購入履歴に基づいてパーソナライズされた商品のおすすめを通じて実現できます。ロイヤルティプログラムもリピート購入を促進します。
顧客の名前で呼びかけるだけでも、ショッピング体験を向上させ、より強力な顧客関係を築くことができます。
SNSがオンラインショッピングのトレンドを形作る
SNSは、オンラインショッピングの人気カテゴリーに影響を与えるだけでなく、それ自体が重要な販売チャネルです。2025年から、SNSを通じて行われる販売は、Eコマース総売上の少なくとも20%を占めると予想されています。
Z世代やアルファ世代が購買力を高めるにつれ、企業はこれらの消費者にリーチするためにSNS戦略を適応させています。多くの人が1日あたり4時間以上をSNSプラットフォームで過ごしているため、ソーシャルセリングを取り入れることが重要です。これには、製品に関する投稿を公開したり、SNSプラットフォームに店舗を設置したりすることが含まれます。
💡 Shopifyなら、ストアをSNSに簡単に接続して、SNSプラットフォームで販売できます。
オンラインショッピングカテゴリーに関するよくある質問
どのオンラインショッピングカテゴリーが最も成長していますか?
最新の予測によると、食品カテゴリーが最も成長し、24.1%の増加が見込まれています。
どのオンラインショッピングカテゴリーが最も安定した成長を遂げていますか?
食品カテゴリーは過去4年間にわたって安定した成長を見せており、2020年には51.6%、2021年には39.7%、2022年には13.3%、2023年には16.0%、2024年には24.1%の増加が見込まれています。
どのオンラインショッピングカテゴリーが最も成長が少ないですか?
メディア製品は、わずか6.1%の増加が見込まれており、最も成長が低いと予測されています。





