製品テストとは？重要性や6つのやり方を紹介

商品やサービスを成功に導くには、顧客のニーズをしっかりと捉え、開発に反映させることが不可欠です。消費者調査にはさまざまな方法がありますが、その中でも、製品テストは利用者からのフィードバックを活かした商品開発が実現できる、優れた施策です。

とはいえ、製品テストの効果的な実施方法がわからず、実践に移せていない方もいるのではないでしょうか。

この記事では、製品テストの概要と重要性について解説します。製品テストのアイデア6選も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

製品テストとは

製品テストとは、商品アイデアや販売開始前の製品が市場でどの程度受け入れられるかを評価するプロセスです。消費者のニーズを把握し、そのニーズにどれぐらい対応できているのかを分析できます。また、現行製品を使った製品テストでは、改善点をあぶり出し、新製品の開発に活かせるメリットがあります。

製品テストの重要性

製品テストは、自社で展開するビジネスを成功させるうえで重要な役割を担います。主な効果は次のとおりです。

• 市場投入後の成功率アップ：市場投入前にターゲット顧客を巻き込んでさまざまな検証を行えば、事業失敗のリスクを下げることができます。
• コスト削減：事前に製品を検証し欠陥を特定することで、市場投入後に発生する修理コストなどの費用が削減できます。
• 製品の機能改善：製品テストの実施、検証、改善のサイクルを繰り返せば、機能性が高く性能のよい製品を開発できます。
• 顧客満足度の向上：製品テストを通じて顧客の意見を把握しニーズをもとに製品を改善することで、顧客満足度の高い製品が提供できます。

製品テストでは、どんな目的で実施するのか、具体的に何を評価したいのかを明確にすることが重要です。目的や評価したい項目に合わせて適切なテスト方法を取り入れることで、製品の改善点や受容性が特定できます。

製品テストのやり方：6つのアイデア

1. コンセプトテスト

コンセプトテストとは、商品販売やサービス開始の前に、コンセプトやアイデアが市場で受け入れられるかどうかを測る調査のことです。開発段階で消費者にアイデアを提示し、受容度や購入意欲を確認したうえで、商品開発の方向性を決定します。テスト結果をもとに改良を加えることで、商品やサービスが成功する確率を高めることができます。

コンセプトテストには、主に2つの方法があります。

• 定量調査：アンケートを用いた大規模調査で、消費者の意識や行動を数値化できるため、傾向の分析に効果的です。
• 定性調査：インタビューを用いて少人数の消費者を対象に行う調査で、行動の背景にある理由を分析できます。

定量調査は、消費者の意見を数値化し統計的に分析できるメリットがあります。そのため、商品アイデアの受容性を測るのに適しています。一方、定性調査は、数値からはわからない消費者心理の分析に効果的です。予想外の気づきにつながる可能性もあることから、新しいアイデアを模索したいときに実施するといいでしょう。

2. A/Bテスト

A/Bテストとは、2つの製品パターンを比較して、どちらがより優れた成果を出すかを科学的に分析する手法です。顧客体験の向上や、製品の機能・性能の最適化などさまざまな目的で活用できます。ユーザー行動に基づいた客観的なデータを得られるため、根拠に基づいた意思決定につながるほか、製品の一部要素を少しづつ検証できるため、コストを抑えながら改善できるというメリットがあります。

より正確なデータを得られるよう、次のポイントを押さえて実施しましょう。

• 検証する機能や性能を1つに絞る
• 同じ時期・同じ期間で検証する
• 十分なサンプル数を確保できるよう、検証期間をしっかりと設ける

継続的にA/Bテストを実施し段階的に改善を行うことで、最終的に成功率の高い製品の開発につなげられます。

3. 品質保証テスト

品質保証テストとは、製品が仕様通りに機能するか、不具合がないかどうかを販売前に確認する取り組みです。製品開発の各工程で実施することが多く、実際の利用環境を想定して条件を変えながら行います。また、製品のアップデートや新機能をリリースする前にも実施することが多いです。事前に欠陥を特定し改良することで、製品やブランドに対する信頼を高められます。なお、ソフトウェア開発における品質保証テストは、QAテストと呼ばれることも少なくありません。

4. テストマーケティング

テストマーケティングとは、新製品の販売やサービス開始の前に、特定の地域・顧客層・期間などで商品の販売やプロモーションを試験的に実施し、市場反応を検証するマーケティング戦略です。消費者に製品を利用してもらうことで客観的な意見を収集できるほか、ターゲット層が間違っていないかを確認できます。

テストマーケティングには次のような方法があります。

• ホームユーステスト（モニター調査）：実際にサンプルを家庭で使用してもらって、フィードバックを得る手法
• 会場調査：特定の会場に調査対象者を集めて、製品の感想をその場で聞いていく手法
• 実店舗での試験販売：ポップアップストアなどを通じて、限られた期間・地域で試験的に販売する手法
• インターネット上での調査：Googleフォームなどを活用し、アンケートを実施する手法
• SNSを活用した調査：SNSで新商品・サービスに関する情報を投稿し、それに対する「いいね」の数やコメントなどでユーザーの反応を調査する手法

5. クラウドファンディング

新しい製品テストの手法として今注目を集めているのが、クラウドファンディングです。商品開発に取り入れることで、資金調達と同時に市場反応を検証でき、市場投入前に製品が成功するかどうかを見極めることができます。

まずはプロジェクトページを作成し、魅力的な製品コンセプトやブランドストーリーを伝えましょう。クラウドファンディングを通して集まった支援額や顧客のコメント・反応から、需要、価格の妥当性、ターゲット層などを分析できます。得られたフィードバックをもとに改良できれば、ニーズに応える製品を市場に投入できます。

また、クラウドファンディングを活用することで、さまざまな人にブランドや製品を知ってもらえるチャンスがあります。SNSで拡散されたり、インフルエンサーに取り上げてもらえたりすれば、ブランド認知度の向上も期待できます。

6. ユーザビリティテスト

ユーザビリティテストとは、販売前にターゲットオーディエンスに製品を利用してもらい、使いやすさを確認する手法です。製品が仕様通りに動作する場合でも、利用者からすると操作が難しい、使い勝手が悪いといった問題が発生することは少なくありません。顧客体験に焦点を当てて製品を検証することで、開発者が見落としがちな操作性の課題を発見できます。

ユーザビリティテストの具体的な方法は次のとおりです。

• 観察型テスト：製品を利用する様子を観察し、実際に使いやすいかどうかを確認する手法
• インタビューテスト：製品を利用したユーザーと調査員が議論し、使いやすさを確認する手法
• タスクベーステスト：特定のゴール（例：ネットショップで靴を購入する）を設け、ゴールを達成するまでのユーザー行動・発言・時間を記録する手法
• アンケート調査：製品を利用したユーザーにアンケートを実施し、フィードバックを集める手法

ユーザビリティテストでは一般的に、製品の有効性、効率性、満足度の3つの軸をもとに評価し、改善点を洗い出します。ユーザーの意見をベースに開発を進めることで、顧客満足度の高い製品が生まれ、ユーザー獲得や収益向上につながります。

まとめ

ビジネスを成功させるには、製品テストを通して、市場投入の前にさまざまな観点から製品を検証することが欠かせません。うまく取り入れることで、製品の機能改善だけでなく、コスト削減や顧客満足度の向上も期待できます。

コンセプトテストやテストマーケティング、クラウドファンディングなど実施方法はさまざまですが、共通して重要なのは目的を明確にすることです。なぜ製品テストを行うのか、どんな仮説を検証したいのかを踏まえて、適切なテスト方法で実施することで、ヒット商品の開発へとつなげられます。

文：Ryutaro Yamauchi