中国の巨大ECサイトであるアリババの使い方や、安全に購入する方法を解説します。ネットショップで売れるものを探している人は参考にしてください。
アリババ(Alibaba)とは?

アリババ(Alibaba:alibaba.com)とは、中国のBtoB ECサイトです。アリババグループが展開するECモールのひとつで、他のマーケットプレイスと区別するためにalibaba.comと表記されることもあります。
macrotrends(英語)によると、2024年度の年次決算では1,373億ドルの売り上げが報告されており、アリババは世界有数のAmazonと並ぶとされています。アリババのプラットフォームには現在、20万を超えるサプライヤーが登録されており、ドロップシッピングに対応するサプライヤーを見つけたり、ホワイトレーベルのように自社ブランドのロゴを入れるなどカスタマイズ可能な商品を見つけたりできます。
アリババの安全性

アリババは、取引の安全性を担保するためのさまざまな取り組みが行われているため、商品が届かない、返金されない、というような購入者に損害となるような大きな危険性はありません。取り組みには以下のようなものがあります。
認証サプライヤー
アリババは取引の信頼性を高めるための認証サプライヤー制度(英語)を設けていて、認証を受けたサプライヤーのストアや商品ページには認証マークが表示されます。
認証マークは、サプライヤーが第三者機関による審査を受け、アリババの基準に基づいて承認されたことを示しています。以下は審査項目の一例です。
- 従業員数
- 海外との取引履歴
- 資格やライセンスの保有状況
- 特許や商標に関する書類
- 工場の所在地と運営実態
- 生産能力
- 品質管理の手順や体制
これにより、バイヤーは各サプライヤーの信頼性や対応力を事前に把握したうえで、安心して発注できます。
購入者保護サービス「Trade Assurance」
アリババは、サイト内での取引についてTrade Assurance(トレードアシュアランス)という無料の購入者保護サービスを提供しています。
このサービスは、バイヤーとサプライヤーがサイト上で出会ってから、取引が完了するまでの一連のプロセスにおけるリスクを最小限に抑えることを目的としており、以下の4つの保証で構成されています。
- 安全な支払い:Trade Assurance対象製品の注文について、決済はすべて暗号化され、通常2時間以内に迅速に処理されます。
- 返金ポリシー:商品の未発送、紛失、欠陥や誤配送などが発生した場合、返金を請求できます。返金に関するトラブルが生じた際は、アリババが仲裁に入り、解決をサポートします。
- 納期配送保証:納期遅延があった場合、バイヤーはサプライヤーとの交渉を経ずに補償を申請できます。
- アフターサービス保証:購入後1年間、メンテナンス、修理、無償交換部品の提供などのサポートサービスが受けられます。サービス内容が事前に合意された条件と異なる場合には、補償を請求できます。
これらの取り組みに加え、実際にアリババを利用したバイヤーのユーザーレビューからも、ほとんどのサプライヤーが高い評価を得ていることがわかり、アリババが信頼できるものであることがうかがえます。さらに、アリババは1999年の設立から四半世紀にわたって事業を継続しており、ニューヨーク証券取引所(NYSE)にも上場していることから、その信頼性は十分に裏付けられています。
ただし、越境ECであり、各サプライヤーとの直接取引となるため、すべての取引が安全とは限りません。悪質なサプライヤーを避けるため、バイヤー自身による事前の精査が重要です。
アリババで安全に購入する方法

Trade Assuranceに対応している商品を選ぶ
安全な決済・返金・アフターサービスなどを保証するTrade Assuranceに対応している商品を選ぶことが、最も安全な購入方法です。
商品検索時に、フィルターでTrade Assurance対象の商品に絞り込むか、各商品の詳細ページで対象となっているか確認しましょう。

サプライヤーの情報を確認する
出品者が認証サプライヤーであるか確認しましょう。認証サプライヤーのストアや商品ページには公式の認証ロゴが表示されています。
さらに、商品ページ下部にある会社プロフィールのセクションから、サプライヤーの経歴や事業実態を確認することができます。信頼できる取引先かどうかを見極めるために、以下のような情報を確認してみましょう。
- 工場検査報告書
- パノラマ写真またはVRショールーム
- 取引履歴(主要な市場や年間輸出総額)
- 適合証明書(製品試験報告書、保有特許、商標登録状況など)
- 生産能力(生産ライン数やOEM / ODMサービスの有無)


また、会社プロフィールページには平均返信時間が記載されており、サプライヤーの問い合わせから返信までの早さを確認することもできます。平均返信時間24時間以内のサプライヤーが望ましいです。
初回はテスト仕入れとしてサンプル購入する
「届いてみたら低品質だった」「イメージと違っていた」といったトラブルを避けるため、まず少量をサンプルとして仕入れて、品質や仕様を確認することをおすすめします。
アリババは大量仕入れを前提とした卸売りサイトですが、サンプル注文や小ロットでの注文に対応しているサプライヤーも多いです。
レビューを確認する
商品ページにあるレビュー、注文実績、評価を確認し、製品やサプライヤーに問題がないかを確認しましょう。過去の取引で問題がなかったかどうか、製品の品質が安定しているかといった点を事前に判断することができます。
コピー品の可能性があるものは避ける
ブランド品、キャラクター商品はコピーや偽物である危険性が高いので、避けた方が無難です。
アリババの使い方

1. 商品やサプライヤーを見つける
商品やサプライヤーを検索します。アリババは画像検索や商品カテゴリー検索にも対応しています。検索結果は以下の4つにフィルタリングできます。
- 製品
- サプライヤー
- メーカー
- 国・地域別製品
さらに、サイドバーのフィルターツールを使えば、より詳細な条件で絞り込むことができます。たとえば次のような要素があります。
- Trade Assurance
- 認証サプライヤー
- お届け日
- ストアの評価
- 価格帯
- 最小注文数
- 過去に輸出した国
- 製品認証

2. 商品の詳細と注文数を確認する
商品が見つかったら、希望する注文数が最小注文数を下回っていないか、納期に問題がないかといった詳細を確認します。アリババでは注文ロット数に応じて単価が変動することが多く、正確な価格を知るにはサプライヤーへ見積もりを依頼する必要があります。
たとえば、下の画像にある商品は最小注文数が50個で、ロット数が増えるほど単価が安くなります。このように、大量注文によって1個あたりの仕入れコストが下がるケースは多く、価格設定にも大きな影響を与えるため、しっかりと確認しましょう。
なお、商品によっては日本への輸入に際して関税や法的手続きが必要となる場合もあります。日本の輸入規制や税制度についても事前に調べておくことが、安全な取引につながります。

3. サプライヤーと交渉する
アリババの大きな特徴のひとつは、サプライヤーと直接交渉できる点です。自社のビジネスに合った取引条件を実現するためにも、価格・納期・最小ロット数・カスタマイズ可否などを含めた交渉を行いましょう。
商品ページから問い合わせウインドウを開いてメッセージを送信できます。入力した内容に応じて、スマートアシスタントが自動で英文を生成してくれます。
問い合わせの際、以下のような情報を明確に伝えることで、サプライヤーからの返信の質が向上し、スムーズに交渉できます。
- 製品の仕様
- 希望販売価格
- 注文数量の目安
- 納品までの希望日数

4. 支払いをする
契約内容が決まったら、サプライヤーへの支払い方法を選択します。アリババの支払い方法は複数あり、対応している通貨や金額、取引手数料、決済処理にかかる時間が異なります。
日本では以下の支払いに対応しています。
クレジットカード、デビットカード、Apple Pay、Google Pay、PayPal
- 通貨と制限:日本円含む複数の通貨で最大12,000USD
- 取引手数料:支払金額の2.99%
- 処理時間:1~2時間
Pay-easy
- 通貨と制限:日本円で最大1000万円
- 取引手数料:支払金額の2.99%
- 処理時間:1~2時間
電信送金
- 通貨と制限:USDで制限なし
- 取引手数料:約40USD(送金元の銀行から請求)
- 処理時間:3~7営業日
アリババをドロップシッピングに使う方法

多数のサプライヤーやメーカーが登録しているアリババでは、専用のドロップシッピングポータルを活用することで、4ステップで簡単にドロップシッピングを始められます。
1. アリババのドロップシッピングポータルにアクセスする
まずは、アリババが提供するドロップシッピングポータルにアクセスします。このポータルでは、消費者からの個別注文に対応できるサプライヤーを検索できます。最小注文数量(MOQ)を満たす必要がなく、無在庫販売を実現できます。
2. オンラインストアを接続する
オンラインストアにShopify(ショッピファイ)を使用している場合、アリババとの接続は非常にスムーズです。アリババとストアをドロップシッピング用に接続するためのアプリをインストールし、指示に従って設定を行うだけで接続できます。
3. 製品やサプライヤーを検索する
検索バーを使用して、自分のビジネスに合ったドロップシッピング製品やドロップシッピングサプライヤーを探しましょう。フィルターを使用して検索結果を絞り込むこともできます。
また、Googleトレンドなどの無料リサーチツールを活用して、需要があり収益性の高い商品を事前に調査するのもおすすめです。
商品選定の際は、販売価格・仕入れ価格・配送料などをもとに、十分な利益が見込めるかの試算も必ず行うようにしましょう。
4. インポートリストに製品を追加する
ドロップシッピングする製品を見つけたら、商品ページにある追加ボタンをクリックしてインポートリストに追加します。
商品を追加すると、[インポートリスト]タブから以下の項目を編集できます。
- 商品タイトル
- 商品説明
- 商品画像
- 販売価格

これらの編集内容は自身のオンラインストアに反映され、消費者に表示されます。
自分のオンラインストアに入った注文はアリババドロップシッピングポータルの[注文]タブに自動で表示されます。[注文]タブからは、以下の操作が可能です。
- 顧客の注文の確認と支払い
- 注文をキャンセルする
- 配送状況を追跡する
- 配達の確認
- 返金をリクエストする
まとめ
アリババは中国発の大規模通販サイトで、Amazonの競合としても知られています。
世界中の膨大なサプライヤーの中から取引先を選び、直接交渉できるのが大きな特徴です。これにより、大量発注によるコスト削減や、製品のカスタマイズを通じた自社ブランド化といった戦略的な仕入れが可能になります。
サプライヤー選定など注意すべき点もありますが、いくつかのポイントを押さえれば、安全かつ効果的に商品を仕入れることができます。仕入れ先候補として検討してみてください。
よくある質問
アリババは安全?
アリババはサプライヤー認証制度や購入者保護サービス「Trade Assurance」を導入していて、安全に利用できます。取引の際は、サプライヤーや商品がこれらの制度の対象となっているかを確認することが重要です。
通販サイトのアリババとは?
アリババとはどんな会社?
アリババ(アリババグループ)とは、alibaba.comやアリエクスプレス、タオバオなどを運営する、中国のテクノロジー企業です。Eコマースや小売り事業を中心に世界的に展開しています。
アリババの本社はどこにある?
アリババグループの本社は中国浙江省杭州市浜江区にあります。
アリババとアリエクスプレスの違いは?
アリババとAliExpress(アリエクスプレス)の違いは、ターゲット顧客です。アリババ(alibaba.com)は主にビジネスオーナーを対象としたB2BのECサイトであり、大量仕入れや取引交渉を前提とした設計になっています。一方、アリエクスプレスは個人消費者を対象としたB2CのECサイトで、少量購入向けになっています。
アリババはドロップシッピングに使える?
アリババでは、多くのサプライヤーがフルフィルメントを代行しているため、ドロップシッピングに使用できます。さらに、アリババにはドロップシッピング専用のポータルも用意されており、ドロップシッピング対応のサプライヤーを簡単に見つけることができます。
誰でもアリババで注文できる?
個人でも法人でも、誰でもアリババを通じて注文できます。海外のメーカーから大量の商品を仕入れることが可能です。
文:Hisato Zukeran





