屋号とは？登録が必要なタイミングを解説

新しいビジネスを始める際、どのような事業かにより、多くの法的手続きが伴います。例えば、パートナーシップ、フランチャイズ、個人事業主など、事業形態を選択する必要があります。

多くの場合、事業形態によっては、登記名に制限が課せられられることがあります。そこで「屋号」登録が役立つ場合もあります。

この記事では、屋号の意味や登録方法、さらに屋号を使用するメリットについて説明します。

「屋号」とは何か？

屋号は、事業が許可を受けている法的名称とは異なる商業上の名称です。

屋号は、税務署に提出する開業届に記載することで、登録することができます。おもに、個人事業者が事業を行う際に使用する名称のことです。屋号をつけることについて、法的義務はありません。

屋号を使用する理由

屋号の使用は任意です。必ずしも登録する必要はありません。しかし、屋号にはさまざまなメリットがあります。

• 印象に残る名前を使いたい場合：個人事業主としてジュエリー事業を営んでいる場合、業界に関連したより記憶に残りやすく検索しやすい名前で事業を行いたいと思うでしょう。屋号により、それが可能になります。
• 事業を拡大する場合：事業の一部門を分離したり、現在の事業名とは関連のない新製品を導入したり、他の有名企業がすでにあなたの名前を使用している地域で事業を行う場合、屋号を活用することで、一つの法的実体の下に複数の事業を置くことができます。
• 銀行が屋号を要求する場合：銀行によっては、個人事業主が法人銀行口座を開設するためには屋号の登録を求めることもあります。事業用銀行口座を持つことで、財務を効果的に管理しやすくなります。
• 事業を転換する場合：現在の事業分野がうまくいかない場合、屋号申請プロセスにより、別の事業体や新しい事業許可を必要とすることなく、既存の事業を全く新しい方向に導くことができます。
• プライバシーを保護したい場合：事業の法的名称は公的記録であるため、商号なしで個人事業主として事業を行うと、個人名が世間に晒される可能性があります。屋号を登録することで、公式書類やマーケティング資料から名前を除外し、プライバシーを保護できます。

屋号の選び方

屋号を選ぶ際のベストプラクティスは、事業やブランドの名前を選ぶ際と似ています。

• ガイドラインに従う：法律上の細かい制約はありませんが、法人と誤認される名称や特定の文字列を使用できない場合もあります。登録前に確認しましょう。
• 記憶に残るものにする：印象的で記憶に残りやすい屋号をつけましょう。読みやすく、発音しやすいものが良いでしょう。
• よく間違えられる単語は避ける：間違えられやすい単語は避けましょう。事業をイメージしやすい名前がお薦めです。
• すでに使用されていないか確認する：屋号申請前に商標の確認や、ドメイン名検索、ソーシャルメディアのハンドル名の調査などを行い、利用可能か確認してください。

屋号登録が必要なのは？

事業タイプによっては、効果的に事業を行うために屋号の登録が欠かせないことがありますが、それ以外の場合は屋号の登録は任意です。以下のことを知っておくべきです。

個人事業主

屋号を一般的に使用するのは、個人事業主です。個人事業主は個人名で事業を登録する必要があるため、屋号を活用してブランディングを行うことができます。

ただし、個人事業主で「鈴木一郎のスタイリングサロン」のように法的事業名に自分の名前を使用している場合、屋号申請書を提出する必要はありません。あなたは自分自身として事業を行っているため、問題ありません。

パートナーシップ

個人事業主と同様、一般的なパートナーシップ事業構造を持つ会社は法人化されていません。そのため、法的名称でもパートナーの名前でもない通称で事業を行いたい場合、屋号を活用できます。

屋号をいつ申請すべきか？

個人事業者の場合、屋号の登録は、開業届の提出時に登録できます。細かい法的決まりはありませんが、一部使用できない文字列などもあります。また、商標登録済みの商号と同一の名前をつけてしまうと、トラブルに発展するリスクもあるため、十分注意してください。

屋号の登録場所

屋号登録は、管轄の税務署で行います。開業届や確定申告の際に、記入できます。特許庁で商標登録して、屋号で使用している名称を保護することもできます。

屋号の更新

屋号を変更する際は、税務署への手続きは特に必要ありません。基本的に、毎年行われる確定申告時に新しい屋号を記載すれば完了します。回数制限もないので何度でも変更可能です。変更したら、必要に応じて取引先や金融機関への連絡を行ってください。