2023年2月から収益化が可能となったYouTube(ユーチューブ)ショートは、新規参入の障壁が低いため、サービス開始以来毎年投稿数が伸びており、多くのYouTuberや企業が新しいマーケティング方法として活用しているほか、お金になる趣味として始める人も増えています。
そこで本記事では、YouTubeショート動画の収益化の仕組みや具体的な収入の目安、動画を収益化するためのヒントを解説します。YouTubeショートでの稼ぎ方や実際にどのくらい稼げるのか気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
YouTubeショートとは
YouTubeショートは、YouTube内で最長3分間までの動画を手軽に視聴・投稿できる動画フォーマットです。通常の動画とは異なり、スマートフォンに最適化された縦型の画面サイズが特徴で、最長3分間の投稿ができるため、臨場感と柔軟性の高い投稿が可能です。
YouTubeショート用の動画は、YouTubeアプリの機能を使って撮影からキャプション・音楽の追加、そして投稿まで一貫して行えるため、動画編集の経験がない人でも簡単にオリジナルの動画を作成して投稿することができます。
また、YouTubeショート用に撮影した動画はインスタのストーリーやTikTokなどの他のSNSにも簡単に流用できるため、拡散されやすいというメリットもあります。こういったメリットから、スマホ副業としてYouTubeショートを収益化させることも可能です。
YouTubeショート動画と通常動画の収益の違い
通常のYouTube動画の収益は、1回再生ごとに約0.05円〜0.7円であるのに対し、YouTubeショート動画では0.003円〜0.01円程度となっています。ただし、これらはあくまで目安となる数値であり、実際は動画のジャンルや再生された時期、表示される広告の種類や表示方法などに応じて金額が変動します。
同じ再生回数で比べると、通常のYouTube動画の方が収益は大きくなりそうですが、実際の収益差はそれ以外の要素にも左右されます。
例えばYouTubeショートは、スワイプするだけで動画を再生できる手軽さから、通常の動画よりも再生回数を伸ばしやすくなっています。
さらに、アプリが提供する機能を使えば、動画編集ソフトを使用しなくても簡単に編集が可能なため、通常の動画と比べて公開までの労力が少ないというメリットもあります。通常の動画かショート動画のどちらかに力を入れたい場合は、これらの要素を総合的に考慮して判断しましょう。
YouTubeショート動画の収益が発生する仕組み
YouTubeショートでは、動画の再生前後に表示される広告を視聴することで発生する広告収益を集計し、調整したのちに分配するという仕組みを採用しています。
具体的な仕組みは、以下の4つのステップに分けられます。
1. 広告収益が合算される
すべてのショート動画から得られる広告収益は、いったん「クリエイタープール」に集められます。クリエイタープールとは、報酬を得る権利を持つ全クリエイターに支払われる収益の合計額のことを指します。
2. 音楽ライセンス費用が差し引かれる
広告収益がクリエイタープールに集められた後、音楽を使用している場合は、動画の広告収益からまずは以下のように費用が差し引かれます。
- 音楽を使用していない場合:差し引かれる金額はなし
- 1曲使用した場合:広告収益の50%が音楽提供者へ
- 2曲使用した場合:広告収益の66%が音楽提供者へ
3. クリエイタープールから報酬が割り当てられる
クリエイタープールにまとめられた広告収益は、収益化を行っている各クリエイターたちに分配されます。収益をいくら受け取れるかは、収益化対象となっているショート動画の、国ごとの再生回数に対する割合によって決定されます。例えば、自分がアップロードした動画の再生回数が、日本で再生されたその月の全ショート動画の総再生回数の3%を占めていたとしたら、クリエイタープールから3%の収益が割り当てられます。
4. クリエイターに支払われる
最後に、YouTubeと収益を分配するため、クリエイタープールから割り当てられた収益から45%が分配されます。つまり、1万円の収益が割り当てられた場合は、最終的に自分の手元に入る収益は4,500円となります。
YouTubeショート動画収益化の条件
YouTubeのショート動画で広告収益を得るためには、YouTubeパートナープログラム(YPP)への参加が必須です。参加には、以下の条件を満たす必要があります。
- チャンネル登録者数:1,000人以上
- 再生回数または時間:ショート動画の再生回数が直近90日以内で1,000万回以上、または通常動画の総視聴時間が直近12か月間で4,000時間以上(ショート動画を除く)
そのほか、クリエイターはYouTubeの収益化ポリシーや広告掲載に適したコンテンツのガイドラインを遵守している必要があります。
また、アップロードするショート動画はオリジナルのコンテンツであることが求められます。ただし、他人のコンテンツを借用する場合でも、大幅な変更を加えられ元の動画との間に有意義な違いが認められる場合は、コンテンツの再利用が認められています。
なお、広告収益分配を受けるには「ショート動画収益化モジュール」への同意が必要です。これはショート動画の間に表示される広告や、YouTube Premiumから収益を得るための規約です。同意前に再生されても、広告収益分配の対象とはなりません。
「ショート動画収益化モジュール」は、YouTube Studioの[収益化]セクションから同意できます。
また、広告収入やYouTube Premium以外にも収益化の方法はあります。登録者数が500人以上いれば、スーパーチャット(ライブ配信など)やチャンネルメンバーシップ、スーパーサンクス、商品紹介などで収益化が可能です。その場合、以下の条件を満たす必要があります。
- 登録者数:500人以上
- 再生回数または時間:ショート動画の再生回数が直近90日で3,000万回以上、または通常動画の総視聴時間が直近12か月で3,000時間
- 過去90日で3本以上の有効な動画をアップロード
YouTubeショートの収益目安
YouTubeショート動画の広告収益は1再生あたり0.003円から0.01円といわれています。実際の収益は広告単価などの要因によっても異なりますが、例えば月に100万回再生された場合は、4,000円から1万円程度が収益の目安となります。
なお、YouTubeショートの収益額の計算式は以下のようになります。
- 自分の投稿の月間再生回数 ÷ 日本国内の全YouTubeショート動画の月間総再生回数 = 自分の投稿の再生回数の割合
- クリエイタープールに集められたYouTubeショート動画の収益額 × 自分の投稿の再生回数の割合 = 割り当てられた報酬額
- 割り当てられた報酬額 × 0.45 = 収益額
YouTubeショート動画を収益化するコツ
動画のテーマとターゲットを定める
YouTubeショート動画を収益化するためには、視聴者と再生回数を増やすことが大切です。まずは動画のテーマとターゲットとなる視聴者を定め、チャンネル全体のスタイルやトーンを統一しましょう。これにより、ターゲット層に注目される機会を増やし、チャンネル登録者数の増加や全体の再生回数の向上が期待できます。また、動画ジャンルを統一することでYouTubeのアルゴリズム対策にもなります。
年齢層、興味・関心、職業など、視聴者の特性などのペルソナを設定し、それらのターゲットに最適化されたコンテンツを作成するのが効果的です。例えば、ゲーム好きの10代〜20代向けに動画を作る場合、人気のゲームを取り上げたり、最新のゲームトレンドを取り上げたりするなどのアプローチが考えられます。
魅力的なサムネイルとタイトルを使う
チャンネルのトップ画面のサムネイルを、ターゲットの好みにあったデザインで統一することも効果的です。検索結果や関連動画に表示された際に視聴者の目を引くようなサムネイルを作成しましょう。画像編集ソフトなら多くのテンプレートから初心者でも簡単に鮮明で魅力的なサムネイルを作成できます。
タイトルは数字や質問などを入れ、具体性を持たせると効果的です。
動画の冒頭で視聴者を引きつける
YouTubeショート動画では、スワイプするだけで次の動画を見ることができるため、離脱を避けるために冒頭の数秒で視聴者の興味を引きつける必要があります。そのため、冒頭で質問を投げかける、衝撃的な情報を与える、これから何が起こるのか予告するなどの工夫が必要です。視聴者を最後まで引きつけるために、動画の目的がすぐにわかるテキストや期待感を刺激する文言を用いるのも効果的です。
テンポの良い展開を意識する
視聴者を離脱させないために、テンポやリズムが良い動画を作るようにしましょう。ショート動画は視聴者が早送りできないため、情報は短く、簡潔に伝えながら飽きないようにテンポ良く進行することが大切です。細かい場面切り替えや音楽を活用する、結末を引っ張りすぎないなどの工夫をすることで、視聴者が画面をスワイプして次の動画へと移行するのを防げます。
YouTubeショート動画は収益化が難しい?
通常の動画と比べるとショート動画の収益は低く、またYouTubeパートナープログラムへの参加条件をクリアするのも簡単ではないため、一般的に収益化は難易度が高いといわれています。
しかし、YouTube上には日本国内だけでも7,300万人以上ものアクティブユーザーがいます。ショート動画は多くの人に視聴してもらいやすいという特性があるため、一度注目を集めれば、視聴者数とチャンネル登録者数を大きく増やして収益を拡大させることも可能でしょう。
また、登録者数の増加に合わせて有料メンバーシップやグッズ販売を始めるなど、再生数や広告以外での収益も生み出すことで、ビジネスとして成功しやすくなるでしょう。
YouTubeショート動画の収益化を実現しよう
YouTubeショート動画の魅力は、誰でも簡単に撮影してアップロードできる手軽さにあります。
ショート動画含めYouTubeの収益化には、再生回数などの条件をクリアしなくてはならないため、一定の努力と時間を要しますが、ショート動画の特性を理解し、視聴者に求められる動画を作り続けることで、動画マーケティングを成功させることは十分に可能です。
この記事を参考にして、収益化への一歩を踏み出してみましょう。
YouTubeショートについてよくある質問
YouTubeショートで著作権付き音楽を使用しても収益は得られる?
著作権付き音楽を使用しても広告収益は得られますが、使用する楽曲の数によってクリエイタープールに割り当てられる金額が変わります。
- 1曲使用した場合:広告収益の50%が音楽提供者へ
- 2曲使用した場合:広告収益の66%が音楽提供者へ
最終的に自分が受け取れる収益は、音楽の使用の有無に関わらず、国別の月ごとのクリエイタープールの金額と、国別の該当月のショート動画全体の再生回数に対して、自分の動画がどのくらいの割合で再生されているのかに基づいて計算されます。
YouTubeショートの収益単価は?
YouTubeショート動画の広告収益の単価は0.003円から0.01円程度といわれています。収益額は以下の方法で計算されます。
- 自分の投稿の月間再生回数 ÷ 日本国内の全YouTubeショート動画の月間総再生回数 = 自分の投稿の再生回数の割合
- クリエイタープールに集められたYouTubeショート動画の収益額 × 自分の投稿の再生回数の割合 = 割り当てられた報酬額
- 割り当てられた報酬額 × 0.45 = 収益額
YouTubeショートで音楽を使うと著作権違反になる?
公式オーディオライブラリの音楽を使用すれば、著作権違反にはなりません。ただし、オーディオライブラリ以外の曲を使用すると著作権問題が生じ、削除通知の対象になる可能性があるため注意が必要です。
YouTubeのショート動画のみで広告収益は得られる?
YouTubeのショート動画のみで広告収益を得ることは可能です。収益化には、以下の条件をクリアしてYouTubeパートナープログラムに参加する必要があります。
- チャンネル登録者数:1,000人以上
- 再生回数または時間:ショート動画の再生回数が直近90日以内で1,000万回以上、または通常動画の総視聴時間が直近12か月間で4,000時間以上(ショート動画を除く)
YouTubeショートでもスーパーサンクスは利用できる?
YouTubeショート動画でもスーパーサンクスを利用できます。スーパーサンクスとはYouTubeの投げ銭機能のことで、視聴者から手数料を引いた金額を直接得ることができます。利用には以下の条件があります。
- 登録者数:500人以上
- 再生回数または時間:ショート動画の再生回数が直近90日で3,000万回以上、または通常動画の総視聴時間が直近12か月で3,000時間
- 過去90日で3本以上の有効な動画をアップロード
文:Miyuki Kakuishi





