ジュエリーや香水瓶、ガラス製品など、キラキラと光を反射するアイテムは、美しく映える一方で撮影が難しい対象です。
反射のし過ぎで商品そのものが見えづらくなってしまったり、撮影者や背景が写り込んでしまったりすると、商品の魅力が損なわれてしまうことになります。光沢のあるアイテムを撮るには、光の特性や法則を理解し、反射をコントロールする商品撮影のコツや編集の工夫が欠かせません、本記事では、SNSでも映える魅力的な商品写真を撮影するための、反射しない撮り方や事前準備の具体的な方法を、わかりやすく紹介します。
光沢のある製品を撮影する事前準備

1. 撮影対象の周りを片付ける
撮影環境はできるだけシンプルに整えることが大切です。
周囲の不要な物を取り除き、映り込みの原因となる人や物の数を最小限に抑えましょう。また、撮影面を丁寧に拭き取り、ホコリやゴミを除去しておくと、後からの画像編集に余計な手間がかかりません。
2. 製品を細かく確認する
撮影前には、製品を客観的に確認し、見栄えを損なう要素がないかをチェックしましょう。
光沢のある表面に汚れや指紋が残っていないか、反射しやすいプラスチック素材で覆われていないかを確認します。また、ロゴや刻印がしっかり見える状態であることも重要です。些細な欠陥が、写真全体のクオリティを大きく左右するため、事前の準備を丁寧に行うことが美しい仕上がりへの近道です。
3. 必要な機材を揃える
ジュエリーなどの写真撮影をする際には、いくつかの機材を用意しておくことも基本となります。どれも特別なものではありませんが、製品撮影の流れを効率的に進め、仕上がりのクオリティを高める効果があります。
光沢のある製品の撮影に推奨される基本的な機材は次の通りです。
- カメラ:ミラーレスカメラやデジタル一眼レフがおすすめです。予算が限られている場合はスマートフォンでも対応可能ですが、設定の自由度が低いため編集に手間がかかる場合があります。
- レンズ:撮影環境や被写界深度に応じて、50mm〜200mmの単焦点レンズを使用します。
- 偏光フィルター:強い反射を抑える効果があり、光沢のある製品の撮影に非常に有効です。手頃な価格で購入できます。
- 三脚:カメラのブレを防ぎ、正確なフレーミングを実現します。安定感のある頑丈なものを選びましょう。
- 背景スクリーン:シンプルな白背景は汎用的に使えます。より個性的な表現をしたい場合は、ブランドイメージに合うカラーや素材の背景を用意しましょう。
- 照明:自然光を活用するのも良いですが、スタジオ用照明や三点照明キットを使うと安定したライティングが可能です。
- リフレクター・ディフューザー:光を反射・拡散させることで、不要な影や強い反射を防ぎます。白や黒のボード、ソフトボックス、撮影用アンブレラなどを活用しましょう。
- 撮影用の平らな面:清潔なテーブルや床、小道具など、ブランドの雰囲気に合った撮影台を用意してください。
光沢のある製品の反射しない撮影方法

1. 照明を配置する
ガラスや金属などの素材は光を反射しやすいため、被写体に当たる「入射光」と被写体が発する「反射光」を意識して証明を配置することが重要です。
例えば横からの光は金属や色付きガラスに効果的で、反射光が製品の縁に沿うため不自然さを軽減できます。光源を片側に置けば立体感のあるドラマティックな仕上がりに、両側に配置すれば全体を均一に照らすことができます。
また、背後からの光は透明なガラス製品に適しています。香水ボトルの透明感やワインの黄金色を強調して、芸術的で印象的な写真を演出できます。
2. カメラを設定する
カメラを三脚に固定したら、撮影する写真が一貫した雰囲気になるように設定を調整していきます。
スマートフォンの場合は自動設定が基本となるため、仕上げは編集段階で調整すると良いでしょう。デジタルカメラを使用する場合は、スタジオ照明による色味を補正するためにホワイトバランスをマニュアルで調整するのがおすすめです。自動ホワイトバランス機能を利用することもできますが、撮影環境によっては色味が不自然になることもあるため注意が必要です。
撮影モードは、自由に細かくコントロールできるマニュアルモードが理想的です。操作に慣れていない場合は、絞り値を設定すれば半自動で調整してくれる「絞り優先モード」を利用するのも有効です。製品全体にピントを合わせたいときは、f/5.6〜f/11の絞り値を目安に設定しましょう。
3. 適切な角度を見つける
光沢のある製品の撮影では、素材や形状によって最適な角度は異なるため、試行錯誤しながら調整することが重要です。
撮影の際は、カメラや光源の位置を少しずつ変えながらテストショットを重ねましょう。
明るすぎる部分や不要な影が映り込む場合は、カメラを横にずらしたり上下に動かすことで改善できます。わずかな調整でも印象は大きく変わるため、横・上・下などさまざまな方向から撮影し、最も製品が引き立つ角度を見つけてください。
4. 光を柔らかくする
光源が強すぎると、反射や影が目立ちすぎてしまいます。そのような場合は、光を拡散させて柔らかくするのが効果的です。
光を拡散させる機材としては、白いシートやトレーシングペーパーといった簡易的なものから、写真用のアンブレラやソフトボックスまで、さまざまなアイテムを活用できます。光源と製品の間に置くことで光が均一になり、反射しないように写真が撮れ、自然で美しい仕上がりを実現できます。
5. 光を反射する
製品の一部が暗く写ってしまう場合は、光を反射させて明るさを補います。
最も手軽な方法は、白いフォームボードを使うことです。光源の反対側に設置すると、影になった部分に光を送り込むことができます。フォームボードの角度を少しずつ変えながら試すことで、自然で理想的な明るさを作り出せます。コストをかけずに照明を整えたいときに便利な物撮りのコツです。
6. マットスプレーを使用する
どうしても不要な光沢が残ってしまう場合は、ツヤ消しスプレーを活用すると効果的です。
表面を一時的にマット仕上げにすることで、強い反射を抑えることができます。ガラスや金属などのツルツルとした素材の撮影をする場合には、手元に用意しておくと便利なアイテムです。
光沢のある製品の写真を編集する方法

1. グレアを減らす
Photoshop(フォトショップ)などの画像編集ソフトを使って、グレア(眩しすぎる光)を最小限に抑えることができます。
簡単なテクニックのひとつは、コピースタンプツールを使用して、画像のなかのちょうどよい色の部分からコピーし、光の強すぎる部分にペーストすることです。
また、シンプルな編集ソフトウェアを使用している場合は、ハイライト、コントラスト、シャドウのスライダーを調整して、グレアが減少するかどうか試してみてください。
2. 反射を取り除く
不要な反射を取り除く作業は、グレアの修正と似ていますが、より細かな手間が必要になる場合があります。大きな反射はコピースタンプツールを使い、周囲の自然な色をコピーして置き換えることで修正できます。
小さな反射については、画像を拡大し、ブラシツールで丁寧に塗りつぶすのが効果的です。細部を調整することで仕上がりが自然になり、製品本来の美しさを引き出せます。iPhoneでも、写真アプリの編集機能や外部アプリを使えば、反射を消したり軽減したりすることが可能です。
3. カラーキャストを修正する
カラーキャストは、照明の影響で金属製品などに黄色や青色の光が薄く映り込んでしまう現象です。そのままでは製品本来の色が正しく表現されず、写真全体の印象が損なわれてしまいます。
修正には、Photoshopの「色相・彩度」レイヤーツールが効果的です。不要な色を選択し、その彩度を下げることでカラーキャストを取り除けます。もし他の部分まで色味が変わってしまう場合は、レイヤーマスクを使用して編集を特定の箇所にだけ適用すると、自然で美しい仕上がりになります。
まとめ
光沢のある製品を美しく撮影するには、まず余計に反射しないようにすることが最も重要です。照明の配置やカメラ設定を工夫し、リフレクターやディフューザーを使って光をコントロールすることで、ディテールを鮮明に捉えられます。
また、どうしても発生してしまうグレアや反射は、編集アプリで除去することができます。画像編集というと特殊なスキルが必要だと思われがちですが、インスタ加工アプリとして使用するような簡単な操作でも、十分に効果を発揮します。撮影後は反射が写り込んでいないか細部を確認し、必要に応じて補正を行いましょう。
適切な準備と撮影テクニック、さらに編集の工夫を組み合わせることで、ジュエリーやガラス製品などの光沢アイテムもSNSやECサイトで映える高品質な商品写真に仕上げることができます。
よくある質問
光沢のある製品の撮影方法は?
光沢のある製品撮影では、まず反射を抑えてディテールを鮮明に写すことが重要です。そのために光の角度を調整し、リフレクターやディフューザーを活用して均一な照明を整えます。また、無地の背景を使い、横・後ろ・上などさまざまな方向から光を当てて調整することで、余計な映り込みを防ぎながら製品の魅力を最大限に引き出せます。
光沢のある製品写真に最適なカメラ設定は?
光沢製品の撮影では、まずホワイトバランスを適切に調整し、色味の偏りを防ぐことが大切です。絞りはf/5.6〜f/11を目安に設定すると、製品全体にピントが合いやすくなります。光が強すぎる場合はシャッタースピードを速めに設定し、グレアや光点を抑えることで、クリアで美しい商品写真を仕上げられます。
光沢のある製品の撮影が難しい理由は?
光沢製品の撮影が難しいのは、表面に光が反射してグレアや映り込みが発生しやすいためです。これを防ぐには、照明やカメラの角度を工夫し、リフレクターやディフューザーを使って光をコントロールする必要があります。各設定を試しながら最適なバランスを見つけ、仕上げに編集処理を加えることで、反射を抑えた高品質な写真に仕上げられます。
文:Takumi Kitajima





