ECサイトにおいて、トップページデザインの作り込みは売り上げにも影響する重要な要素です。ここで訪問者に好印象を与えられれば、購入されやすくなり、リピーター獲得にもつながりますが、逆に印象が悪ければすぐ離脱に繋がる可能性があります。
ナビゲーションの使いやすさや、ブランドイメージに適したデザインなど、総合的な印象が顧客の行動を左右します。
本記事では、国内外の優れたトップページデザイン11選と、それらに共通する効果的な要素を紹介します。デザインの改善やコンバージョン率向上のヒントとして、ぜひ参考にしてください。
トップページの役割
トップページの役割は単なる入り口や看板ではなく、見映えの良さにだけ気を遣えば良いというわけにはいきません。Webサイトがブランディングにおける顧客との重要な接点として機能するためにも、以下のような役割があることを意識すると良いでしょう。
- ターゲット顧客を惹きつけつ、ブランドの特徴やUSPを正確に伝えること
- SNSアカウントなど、他の媒体とも一貫したブランドアイデンティティの提示
- 潜在顧客を購入や問い合わせ、メール登録などの行動へと導くこと
- きちんとした事業者であるという証明を示し、信頼感と安心感を与えること
- 最新ニュースや期間限定オファーなどの効果的な発信
- 訪問者が求めるページへ直感的にたどり着ける、明確な導線
これらの役割を十分に果たすためには、トップページデザインの見た目だけではなく、どの情報をどこに配置するか、どんな順番や流れで見せるか、といった設計をLPデザインと同様に作り込む必要があります。
魅力的なトップページデザインの例11選
1. 無印良品

無印良品は、「しるしの無い良い品」という理念を掲げ、ミニマルで機能的なデザインを世界中に発信する日本発のブランドです。無駄を省き、本質的な価値に焦点を当てる姿勢が反映され、無印良品のトップページデザインは視覚的なノイズを極力排したシンプルな構成が特徴です。
白を基調にしたレイアウトと余白を活かしたデザインにより、商品写真やメッセージが自然に際立ちます。ページ上部のヘッダーには、商品カテゴリーや目的の機能にすぐアクセスできる導線が整っています。また、PC・スマートフォンいずれでも統一感を保つレスポンシブ設計により、どのデバイスからでも快適に利用できます。
2. プログリット

プログリットは、短期間で実践的な英語力を身につけることに特化した英語コーチングサービスです。専属コンサルタントが受講者に寄り添い、科学的根拠に基づいた学習プランで効率的なスキル向上をサポートします。
プログリットのトップページデザインは、第一印象でサービスの価値が伝わるよう設計されています。ファーストビューには「本気で英語力を伸ばしたい人」へ向けた強いメッセージとともに、受講者の成果や実績が掲載されることで信頼感を高めています。さらに、無料カウンセリングへの申込みボタンを目立つ位置に配置し、訪問者がすぐ行動に移れる導線が整っています。
3. ユニクロ(UNIQLO)

ユニクロ(UNIQLO)は、「Made for All」という理念を掲げ、シンプルで高品質、かつ手頃な価格の衣服を国内だけでなく世界的に販売している日本発のグローバルブランドです。ユニクロのトップページデザインは、大きなビジュアルを効果的に配置し、最新コレクションやキャンペーンを直感的に訴求していることが特徴です。
季節やトレンドに合わせてトップページが頻繁に更新され、常に新鮮さを感じられることで、再訪を促す戦略となっています。シンプルながらも視認性の高いレイアウトにより、ユーザーは目的の商品や特集ページにスムーズにアクセスできることも、訪問者にストレスを感じさせない工夫です。
4. 帝国ホテルオンラインショップ

帝国ホテルが運営するオンラインショップは、ホテルの品格と信頼感をそのままオンライン上で表現したECサイトです。食品やギフト、ライフスタイル雑貨など、厳選された高品質な商品を全国に届けています。
トップページデザインは、ゴールドとホワイトを基調とした配色で、高級感と洗練さを演出しています。ファーストビューには大きなスライダーを配置し、季節の商品や新着アイテムを確実に注目させるデザインです。カテゴリは「食べる」「飲む」「暮らす」「楽しむ」といった目的別に整理されており、訪問者が欲しい商品をすぐに探せる構成になっています。また、文字サイズやレイアウトにも配慮し、幅広いユーザーが快適に利用できるアクセシビリティ設計が施されています。
5. Thinx

Thinxは、吸水サニタリーショーツ市場のパイオニアとして知られるブランドです。業界に先駆けて商品を展開し、率直で壁をつくらないコミュニケーションスタイルによって、長年タブー視されてきたテーマに新たな風を吹き込みました。この姿勢は現在も変わらず、「生理についての話題を隠す必要はない」というスタンスでストレートに表現することによる、誠実なブランディングとマーケティングをブランド全体で貫いています。
主力製品であるコアシリーズに加え、ティーン向けや尿ケア向けなど複数のカテゴリーがあるため、トップバナーバーに製品選択チャートを配置することで、訪問者が自分のニーズに合った製品を迷わず見つけられるよう設計されています。
6. 楽天市場

楽天市場は、日本を代表するECモールとして、数千万点におよぶ幅広い商品を取り扱う総合オンラインショッピングサイトです。食品、ファッション、家電から日用品まで多彩なジャンルを網羅し、ユーザーにとって「なんでも揃う」便利さが強みです。
そのブランディングに合わせて、楽天市場のトップページデザインは豊富な情報量と視覚的なインパクトを重視しています。セールやキャンペーンを知らせる大型のバナー、ランキングやポイント還元の情報が一目でわかるレイアウトにより、購買意欲やお得感を喚起する設計になっています。さらに、ユーザーの購買データを活用したレコメンド機能によって、個々の嗜好に合わせた商品提案も行われており、利便性と楽しさを兼ね備えたショッピング体験を提供しています。
7. LOHACO(ロハコ)

LOHACO(ロハコ)は、日用品や食品を中心に、暮らしに役立つ商品を手軽に購入できるECサイトです。LOHACOのトップページデザインは、日常生活に直結する商品を見やすく配置し、利用者が必要なものを素早く探せるシンプルな構成が特徴です。
大きなキャンペーンバナーや季節特集がファーストビューに配置され、セール情報やおすすめ商品が直感的に理解できるよう工夫されています。また、カテゴリごとのアイコンや分かりやすい検索機能により、食品や日用品などの必需品をスムーズに探し出せるようになっています。
8. 北欧、暮らしの道具店

北欧、暮らしの道具店は、北欧テイストの雑貨や衣料、生活用品を取り扱う日本発のECサイトでありながら、メディアとしての側面も持つユニークな存在です。商品販売だけにとどまらず、読み物や動画コンテンツを通じて「暮らしを豊かにするアイデア」を発信しており、ファンコミュニティを形成しています。
トップページデザインはシンプルで温かみのあるビジュアルを基調とし、記事や特集が商品ページと自然に融合しています。また、写真やテキストの余白は、商品やコンテンツ一つひとつが心地よく際立つように工夫されています。結果として、ユーザーは「読みながら欲しくなる」体験を通じて、ブランドへの愛着を深められる仕組みとなっています。
9. BEAMS(ビームス)

BEAMS(ビームス)は、日本を代表するセレクトショップであり、国内外のブランドやオリジナルアイテムを幅広く展開しています。ファッションだけでなくライフスタイル全般を提案する姿勢が支持され、トレンドを発信する存在として多くのファンを獲得しています。
BEAMS公式オンラインショップのトップページデザインでは、シーズンごとの特集や新着アイテムが大きな写真で打ち出され、雑誌をめくるような感覚で最新のトレンドを楽しむことができます。白を基調に余白を活かしたレイアウトは、商品写真やモデルカットが映えるデザインです。視覚的な美しさと操作性を兼ね備えたデザインは、幅広いアイテムを扱うファッションECの理想的なモデルケースといえるでしょう。
10. TODAY’S SPECIAL

TODAY’S SPECIALは、「食とくらしとコミュニケーション」をテーマに、日常を少し特別にするような雑貨・食品・日用品を扱う日本発のライフスタイルショップです。TODAY’S SPECIALのトップページデザインは、余白を活かしたシンプルで洗練された構成が特徴です。落ち着いたトーンの写真と整然としたレイアウトにより、商品一つひとつの質感やストーリーが自然に伝わるよう設計されています。
特集コンテンツや季節の提案がメインビジュアルで大きく展開され、商品販売ページと読み物的なコンテンツがシームレスに融合していることで、単なる買い物にとどまらないインスピレーションを与えるECサイトとなっています。
11. 土屋鞄製造所オンラインストア

土屋鞄製造所は、1965年創業の日本発レザーブランドで、職人の手仕事によるランドセルや革製品で高い評価を得ています。丁寧なものづくりと長く愛用できる品質を重視し、オンラインストアでもブランドの世界観を十分に表現しています。
土屋鞄製造所オンラインストアのトップページデザインは、訪問者が商品を選ぶ過程でブランドの理念や職人技へのこだわりを感じられるように設計されています。また、決して情報を詰め込みすぎず「静かな高級感」を演出しています。
コンバージョンにつながるトップページのデザイン要素7つ

ページ速度と操作性の最適化
Webサイトのトップページは、訪問者が最初に触れる場所であり、スムーズに閲覧できるかどうかは離脱率やコンバージョン率に直結します。どんなデバイスでも快適に利用できるよう、次のポイントを意識してデザインを最適化しましょう。
- 軽量なデータ構造:不要なスクリプトやプラグインを削減し、読み込み時間を短縮する
- 画像・動画の最適化:圧縮やWebPなどの次世代フォーマットを活用し、品質を保ちながら容量を減らす
- キャッシュの活用:ブラウザキャッシュやコンテンツ配信ネットワークを利用して、再訪時の読み込みを高速化
- レイアウトの安定性:表示途中のレイアウト崩れを防ぎ、操作のしやすさを確保
- 明確な導線設計:ナビゲーションやCTAボタンの位置・サイズを全デバイスで分かりやすく配置
こうした改善は、モバイルだけでなくPCやタブレットなどあらゆる環境での快適さを保証します。結果として、訪問者がストレスなく情報を探せるようになり、行動を起こす可能性が高まります。
一貫したブランディング
一貫したブランディングは、顧客との信頼を築き、ブランドを長期的に成長させるために欠かせません。
注文確認メールの文面からTikTok(ティックトック)のプロフィール画像まで、あらゆる接点で統一感を持たせることにより、顧客はブランドを瞬時に認識できるようになります。そのためには、フォントやカラー、ロゴ・画像といったブランドアセットを明確に定めたガイドラインが必要です。これらをECサイトビルダーに取り込み、トップページを含むすべてのページで一貫して使用しましょう。
多くのネットショップ作成サービスのECサイト用テーマは高いカスタマイズ性を備えており、プリセットのレイアウトから始めてビジネスの目的や世界観に合わせて柔軟に調整可能です。
こうした統一感のあるデザインは、第一印象を強化し、顧客満足度を高める強力な武器となります。
モバイル最適化
近年はインターネットアクセスの多くをスマートフォンやタブレットが占めているため、モバイルデバイスに対応しているかどうかで訪問者が購入などに至る割合(コンバージョン率)は大きく変化します。モバイルでもPCと同等の快適さと使いやすさを維持することで、訪問者はストレスなく商品閲覧や購入などの行動をとることができます。
Shopify(ショッピファイ)テーマストアではすべてのテーマがモバイル表示に対応しており、運営者は最小限の調整を行うだけで対応できます。実際のShopifyのストア例でも、多くのECサイトでデバイスを問わずレイアウトや操作感の一貫性が保たれ、ブランドの印象を損なうことなくユーザーを誘導できるように配慮されています。
しかし、テーマがモバイル対応であっても、そのままでは十分でない場合があります。例えば、以下の点を調整すると、より高いユーザー体験を提供できます。
- 読み込み速度を向上させるため、モバイル用にサイズや解像度を最適化した画像も用意する
- ボタンやリンクのサイズ・間隔を広げ、タップしやすくする
- 縦長スクロールを前提に、重要情報を上部に配置する
- フォーム入力を簡略化し、入力補助機能を活用する
こうした最適化により、モバイル環境でもスムーズな操作と高速表示を実現でき、離脱率を下げてコンバージョン率の向上につなげられます。
直感的なナビゲーション
ナビゲーションはシンプルで分かりやすいほど、訪問者は迷わず目的のページにたどり着けます。ナビゲーションの選択肢が多すぎると、訪問者は混乱し離脱率が上がる可能性があります。下記のようなポイントを押さえて、シンプルかつ直感的な構造を保つことが滞在時間やコンバージョン率の向上につながるでしょう。
- ヘッダーナビゲーションは項目を絞り込み、優先度の高いページを左から順に配置する
- 二次的なページ(会社概要、お問い合わせ、FAQなど)はハンバーガーメニューやフッターにまとめる
- 検索バーや重要リンクはページ上部に設置し、素早くアクセスできるようにする
複数の製品シリーズを展開している場合は、カテゴリーへのリンクを設置したドロップダウンメニューや、大きな画像をボタンにすることで視覚的に導線をわかりやすくしたメガメニューなどの活用により、ナビゲーション性を高めることができます。Shopifyで構築されたサイトの多くでも、標準搭載されたこれらの機能が効果的に活用されています。
明確なCTA
ホームページのトップページデザインにおいて、特集コレクションへのリンクや新製品の事前予約、メールリストへの登録など、訪問者に次のステップに進むための行動を促すCTA(コール・トゥ・アクション)は重要な役割を果たします。
CTAが不明確だったり埋もれていたりすると、せっかく興味を持った訪問者も行動に移らず離脱してしまいます。トップページは、主要なCTAを中心に構成し、その周辺のデザインや要素がCTAを自然に引き立てるようにしましょう。配置・色・コントラスト・サイズといったデザインの基本原則に沿って、ページをスクロールしていてもすぐ目に入るように設計します。
また、「数量限定」「期間限定」などの心理的要素を加えることで、行動意欲を高めることが可能です。CTAは単なるボタンやリンクではなく、訪問者の意思決定を後押しする道しるべです。明確で魅力的なCTAがあれば、ユーザーは迷わず次のステップに進みやすくなり、結果としてコンバージョン率の向上につながるでしょう。
目を引く写真とメディア
写真や動画などのビジュアル要素は、サイトのトップページデザインの印象を決定づけるだけでなく、CTAの効果を高めるためにも欠かせません。人間はテキストよりも画像の方が情報を早く処理できるため、ビジュアルを効果的に配置することで訪問者は短時間でブランドや製品の魅力を理解できます。
活用例としては、以下のような方法があります。
- ライフスタイル写真:製品を理想的な使用シーンで紹介し、顧客が自分の生活に取り入れるイメージを持ちやすくする
- 製品写真:高解像度で細部まで見える画像を使い、品質や特徴を的確に伝える
- スライドショー:複数の製品やコレクションを連続して紹介し、特に重要なスライドを最初に表示する
- 動画:ブランドのストーリーや製品の使い方を短時間で魅力的に説明できる
- アニメーション:視覚的な動きで注目を集め、自然に視線をCTAへ誘導する
さらに、代替テキストを設定することで、音声読み上げ機能の利用者にも情報が届き、SEOの面でも効果が期待できます。
顧客に安心感を与える要素
トップページには、訪問者が安心して購入や問い合わせを行えるよう、信頼を築くための要素を盛り込みましょう。特に初めて訪れるユーザーにとって、安心感はコンバージョンを左右する重要な要因です。信頼感を高める効果的な例としては以下があります。
- レビューやお客様の声:実際の利用者の感想や評価を掲載し、製品やサービスの信頼性を示す
- 専門家の推薦や受賞歴:業界の専門家や第三者機関からの認証・受賞を表示し、品質を裏付ける
- 返品・交換ポリシーの明示:条件や手順を分かりやすく提示し、購入の不安を軽減
- セキュリティバッジや認証マーク:支払い情報の安全性を保証するシンボルを表示する
- FAQ(よくある質問)リンク:疑問や不安を素早く解消できるページへ案内する
こうした要素は、単なる装飾ではなく、ブランドの誠実さや信頼性を伝える証拠となります。特に競争が激しい市場では、安心感のある情報を明確に打ち出すことで、訪問者の購入意欲を高め、長期的な顧客関係の構築にもつながります。
まとめ
今回紹介した11件のWebサイトのトップページデザイン事例は、美しさだけでなく、ユーザーを行動へ導く仕組みまでしっかり設計されています。
ブランドの魅力を最大限に引き出し、直感的に操作できるデザインは、コンバージョン率や顧客ロイヤルティの向上に直結します。ECサイトのデザインは、潜在顧客がブランドに触れる最初の接点であり、その印象がその後の関係を大きく左右します。サイトを新たに立ち上げるときも、既存デザインを見直すときも、「ユーザー視点での使いやすさ」と「ブランドらしさ」を両立させることが重要です。
今回の事例や売れるECサイトのデザインを参考に、自社サイトのトップページを戦略的に磨き上げていきましょう。
トップページデザインに関するFAQ
Webサイトのトップページデザインで意識するべきポイントは?
トップページのデザインでは、見た目だけではなくユーザー体験にも配慮する必要があります。一貫したブランドイメージとターゲットオーディエンスの好みに合わせたビジュアル、使いやすくスムーズに目的のページへたどりつける機能性といった要素のバランスを取ることが重要です。
ブランディングにつながるトップページをデザインする方法は?
SNSなどと共通して活用できるよう、ブランドのイメージカラーやロゴ、画像などが含まれたブランドアセットを、あらかじめガイドラインに定めておきましょう。統一感のあるデザインは、顧客の信頼感や満足度を高めるために役立ちます。また、目を引く写真やメディアを配置することで、ブランドや製品の魅力が伝わりやすくなります。
効果的なトップページをデザインするために必要な要素は?
効果的にコンバージョンへつながるトップページデザインには、シンプルにまとまったヘッダーのナビゲーションや、訪問者にアクションを促す明確なCTA、訪問者の信頼を得るための情報などが盛り込まれている必要があります。また、表示速度の速さや、モバイルを中心にあらゆるデバイスに対応したレスポンシブデザインなども求められます。
良いトップページデザインの例は?
良いトップページデザインとは、印象的なビジュアルと、わかりやすいナビゲーションとCTAを備えたものです。例えば、日本国内では「無印良品」「帝国ホテルオンラインショップ」などが、ブランディングとユーザー目線の使いやすさを両立したトップページデザインの例としてあげられます。
文:Takumi Kitajima





