オーガニックトラフィック(自然検索流入)によるウェブサイトの訪問者は、マーケティングの観点から特に重視すべき存在です。コンテンツや商品に関心を持って自発的にアクセスするユーザーであり、その分析や最適化を行うことで長期的に費用対効果の高い集客が可能となります。
オーガニックトラフィックを増やすためには、基本的なSEO対策だけでなく、コンテンツ戦略やサイト構造の改善など、より包括的な戦略が求められます。本記事では、オーガニックトラフィックの基本的な知識から、ビジネスにもたらす価値、そして実際にアクセスを増やすための具体的な方法までわかりやすく解説します。
オーガニックトラフィックとは?

オーガニックトラフィックとは、Google(グーグル)やBing(ビング)などの検索エンジンの広告でない検索結果を通じてウェブサイトに訪れるユーザーのことを指します。
有料広告やSNSなどの外部サイト経由ではなく、関連するキーワードや高品質なコンテンツ、SEOのベストプラクティスを使用することで、あなたのサイトが検索結果でランクインする結果、オーガニックトラフィックは発生します。
ユーザーが検索する用語でサイトがオーガニックにランクインしているなら、検索エンジン結果ページ(SERP)でユーザーがリンクをクリックすることでトラフィックが発生します。一方、有料検索広告は、検索結果ページでランクインするために支払いが必要です。
オーガニックトラフィックのメリット

- コスト効率が高い:オーガニックトラフィックは、クリック課金の広告費などがかからないため、長期的なコストを抑えることができます。
- ブランド認知度の向上:検索結果で上位表示されることで、ユーザーの目に留まりやすくなり、ブランドの信頼性や認知度を高める効果があります。
- 持続的な集客が可能:有料広告のように掲載を止めるとアクセスが途絶えることはなく、長期的に安定したトラフィックを得られます。
- 収益性の向上:自然検索からの流入が増えることで、広告コストを抑えながら売り上げとROI(投資対効果)を高めることができます。
オーガニックトラフィックに影響を与える要因

オンページSEO
オンページSEOとは、検索エンジンに対して「このページは特定のキーワードやユーザーの検索意図に関連している」と伝えるために、ページ単位の要素を最適化する取り組みです。
オンページSEOを行うための主なポイントは、次のとおりです。
- ページタイトル:タイトルには主要キーワードを含め、検索結果でユーザーが内容をイメージしやすいようにします。長すぎるタイトルは避けましょう。
- URL構造:URLはできるだけ短く、キーワードを含めて、検索エンジンが内容を理解しやすい形にすることが重要です。
- 見出しタグ(H2・H3など):コンテンツの構成を明確にし、見出しにも関連キーワードを自然に取り入れることで、SEO効果を高められます。
- コンテンツの質:ユーザーの疑問を解決する充実した内容にし、キーワードを不自然にならない程度に組み込みます。情報の網羅性と読みやすさが鍵です。
テクニカルSEO
ページ単位の最適化(オンページSEO)に加えて、テクニカルSEOもオーガニックトラフィックに大きく影響します。テクニカルSEOとは、検索エンジンがサイトを正しくクロール・インデックスできるようにするための技術的な改善施策のことです。
主なポイントは次のとおりです。
- サイト構造(サイトアーキテクチャ):ナビゲーションがわかりやすく、論理的に整理されたサイト構造は、検索エンジンのクロールをスムーズにし、ユーザーの回遊性も高めます。
- モバイル対応(レスポンシブデザイン):モバイルフレンドリーなデザインは、現在の検索ランキングで必須要件です。たとえば、Shopifyのレスポンシブテンプレートを活用することで、あらゆるデバイスに対応した見やすいページを構築できます。
- 読み込み速度の最適化:サイトの読み込み速度が速いほど、ユーザー体験が向上し、結果的に検索順位にも良い影響を与えます。
- セキュリティ対策:SSL証明書の導入やHTTPS化など、適切なセキュリティ対策は検索エンジンにサイトの信頼性を示す重要な要素です。
キーワードリサーチとコンテンツ戦略
効果的なキーワードリサーチと最適化されたコンテンツ戦略は、検索エンジンで関連トピックを探しているユーザーを自然に引き寄せる鍵となります。
以下のような要素を戦略に取り入れることで、オーガニックトラフィックの拡大が期待できます。
- ターゲットコンテンツの作成:ユーザーの購買意欲が高い関連キーワードを狙い、ブログ記事や動画コンテンツを発信します。具体的な商品名やサービス課題に焦点を当てることで、より質の高い訪問を獲得できます。
- 既存コンテンツの最適化:すでに公開している記事を、検索意図や検索ボリュームの高いキーワードに合わせて改善します。見出し構成やメタディスクリプションの調整も効果的です。
- ロングテールキーワードの活用:「チェルシーブーツ」のような一般的な単語だけでなく、「黒のサイズ11のチェルシーブーツ」といった具体的なニーズに沿った検索語句も取り入れることで、ニッチな検索需要を逃さずカバーできます。
被リンクの獲得
質の高いサイトから自然なアンカーテキスト付きリンク(被リンク)を獲得することは、検索エンジンに対してコンテンツの信頼性や権威性を示す大切な要素です。ただし、被リンクの件数が多いほど良いというわけではありません。リンクの質と関連性が成果を左右します。
被リンクを獲得・構築する際に意識すべき主なポイントは次のとおりです。
- 関連性:自分の業界やテーマに近いサイトからのリンクは、検索エンジンから「専門性の高いサイト」と評価されやすくなります。
- 信頼性:ドメインオーソリティ(DA)が高いサイトや、信頼あるメディアからのリンクはSEO効果が大きくなります。
- 人気(トラフィック量):アクセス数が多い人気サイトからのリンクは、トラフィック増加にも直結します。
- 多様性:さまざまな質の高いサイトからリンクを得ることで、自然な被リンクプロファイルを構築できます。
- アンカーテキストの自然さ:同じキーワードばかりを繰り返さず、文脈に合った多様なアンカーテキストを使うことが重要です。
検索アルゴリズムの変更
Googleをはじめとする検索エンジンは、より高品質な検索結果を提供するために、定期的にアルゴリズムをアップデートしています。2025年も引き続き、コンテンツの有用性・信頼性・体験価値(E-E-A-T)を重視する方向に進化しています。
オーガニックトラフィックとダイレクトトラフィックの違い

ダイレクトトラフィックとは、ユーザーが検索エンジンを経由せずにウェブサイトへアクセスするケースを指します。具体的には、ブラウザにブックマークしたリンクをクリックしたり、URLを直接入力して訪問したりする場合が該当します。
オーガニックトラフィックとダイレクトトラフィックの共通点と相違点は以下の通りです。
ユーザーの流入経路
- 共通点:オーガニックトラフィックとダイレクトトラフィックはいずれも、訪問者があなたのウェブサイトのURLに直接アクセスする点で共通しています。
- 相違点:オーガニックトラフィックは、ユーザーが検索エンジンで関連キーワードを検索した際の検索結果を経由して発生します。一方、ダイレクトトラフィックは、紹介元を介さずにユーザーがURLを手動で入力したり、ブックマークをクリックしたりして訪問するケースを指します。
検索者の意図
- 共通点:オーガニックトラフィックとダイレクトトラフィックのどちらの場合も、訪問者は自らの意思であなたのウェブサイトにアクセスしています。
- 相違点:オーガニックトラフィックの訪問者は、特定の情報や商品、サービスを探しており、具体的な課題解決やニーズの充足を目的としてサイトを訪れます。一方、ダイレクトトラフィックの訪問者は、すでにブランドやサイトに馴染みがあるケースが多く、URLを直接入力するなどしてアクセスします。そのため、訪問の目的や意図はより多様です。
コスト
- 共通点:オーガニックトラフィックもダイレクトトラフィックも、アクセスを得るための広告費などは必要ありません。
- 相違点:オーガニックトラフィックを増やすためには、検索順位を維持・向上させるための継続的なSEO対策やコンテンツ制作への投資が必要です。一方、ダイレクトトラフィックは、ユーザーがURLを覚えたりブックマークしたりすることで自然に発生するため、追加コストはほとんどかかりません。
企業がコントロールできる度合い
- 共通点:オーガニックトラフィックとダイレクトトラフィックのどちらも、デジタルマーケティングやブランディングの取り組みによって促進することができます。
- 相違点:オーガニックトラフィックは、コンテンツの最適化やSEO施策を通じて企業側である程度コントロール可能です。一方、ダイレクトトラフィックは、ユーザーがURLをブックマークしたり直接アクセスするかどうかに依存するため、企業が直接的にコントロールすることは難しいという特徴があります。
ユーザーエンゲージメントの質
- 共通点:オーガニックトラフィックとダイレクトトラフィックのどちらも、コンバージョンや購入といった価値の高いユーザーアクションを生み出す可能性があります。
- 相違点:オーガニックトラフィックの訪問者は、課題解決や情報収集など明確な目的を持ってサイトを訪れるため、コンテンツへの関心やエンゲージメントが高い傾向があります。一方、ダイレクトトラフィックの訪問者は、すでにブランドやサイトに馴染みのあるリピーターが多く、アクセス目的がさまざまであるため、購買意欲や関与度には個人差があるのが特徴です。
追跡
- 共通点:オーガニックトラフィックとダイレクトトラフィックはいずれも、Google Analytics(グーグルアナリティクス)やSemrush(セムラッシュ)などのウェブ解析ツール上でカテゴリとして確認できます。
- 相違点:オーガニックトラフィックでは、ユーザーがどの検索キーワードや検索順位を経由してあなたのサイトにたどり着いたのかを把握できます。一方、ダイレクトトラフィックは検索エンジンを介さないため、使用されたキーワードや具体的な流入経路のデータを取得できないという制限があります。
オーガニックトラフィックの追跡方法

オーガニックトラフィックを効果的に増やすためには、まず現状を正確に把握することが大切です。そのために、Google AnalyticsやSemrushといったウェブ解析ツールを活用して、オーガニックトラフィックの動向を定期的に追跡しましょう。
これらのツールを使えば、検索流入の傾向やキーワードごとの成果を可視化でき、SEO改善の方向性を見極めるための重要なヒントが得られます。
Google Analyticsでオーガニックトラフィックを確認する方法は、以下のとおりです。
- Google Analyticsにログインし、左側のメニューから「レポート」>「集客」>「トラフィック獲得」を開きます。
- 表示されたチャネル別の一覧の中から、「Organic Search(オーガニック検索)」をクリックします。
- ここで、ユーザー数・新規ユーザー数・エンゲージメント率・平均エンゲージメント時間など、オーガニックトラフィックに関する主要なデータを確認できます。
- Google Search Consoleと連携している場合は、「レポート」>「集客」>「Search Console」>「クエリ」に移動すると、実際にどの検索キーワードがあなたのサイトへの流入を生み出しているかを詳しく分析できます。
一方で、SEMrushでオーガニックトラフィックを確認する方法は次の通りです。
- Semrush の検索バーに自社のドメインを入力し、「ドメイン概要」ページから「オーガニックリサーチ」を選択します。
- 「オーガニックリサーチ」ページ内の「ポジション」タブに移動すると、キーワード別のランキングや推定トラフィックを確認できます。また、地域・デバイス・期間などでフィルタリングすることも可能です。
- 特定のキーワードをクリックすると、検索結果ページ(SERP)での表示順位や競合の動向が表示され、個別キーワードの推定月間トラフィックも確認できます。
ウェブサイトのオーガニックトラフィックを増やす戦略

関連キーワードをターゲットにしたコンテンツを作成する
Googleキーワードプランナーなどのツールを活用すれば、あなたの製品やサービスに関連する検索ボリュームの高い商用キーワードを分析することができます。
見つけたキーワードは、ブログ記事や商品ページ、サービス紹介などの自社サイトコンテンツに自然な形で組み込むことがポイントです。検索者の意図を踏まえてコンテンツを作成することで、より質の高いリードを獲得しやすくなります。また、既存の古いコンテンツや情報量の少ないページを定期的に更新・強化することも、オーガニックトラフィックの向上につながります。
検索意図に沿ったコンテンツを作成する
Google Search Consoleのデータを活用して、ターゲットキーワードに対する検索者の意図を正確に把握しましょう。
クリック率(CTR)やインプレッション数、滞在時間などのユーザー行動データを分析することで、ユーザーが検索時に抱えている目的や関心を特定できます。その上で、検索クエリが示す「疑問」や「ニーズ」にしっかり応えるコンテンツを作成することが重要です。こうしたアプローチにより、「おすすめ」「比較」「購入」などの購入意欲の高い商用キーワードでのランキング向上が期待でき、コンバージョンにつながるオーガニックトラフィックを増やすことができます。
質の高い被リンクを獲得する
他のウェブサイトから自社サイトへのリンク(被リンク)を獲得することは、検索エンジンに対してサイトの信頼性と権威性を示す重要な要素です。特に、業界内で評価の高いサイトや関連性の強いページからリンクを得ることで、検索順位の向上とオーガニックトラフィックの増加が期待できます。
効果的な方法として、PRアウトリーチ(リンク獲得のための積極的な働きかけ)やゲスト投稿を行うことで、信頼性のあるメディアや業界ブログ、ニュースレターなどからリンクを獲得しましょう。自然で関連性の高い被リンクを積み重ねることで、長期的なSEO効果を得ることができます。
ウェブサイトの速度とパフォーマンスを改善する
ページの読み込み速度が速く、モバイルに最適化されたサイトは、ユーザー体験(UX)を向上させ、検索エンジンからの評価も高まります。そのためには、画像の最適化や不要なコードの削除、キャッシュの活用、サーバー環境の最適化などを行い、データの転送量を減らすことが効果的です。
また、定期的にサイト速度をテストし、目標となるパフォーマンス指標を設定して改善を続けましょう。ユーザーが求める情報をストレスなく閲覧できる環境に整えることが、オーガニックトラフィックの維持・向上につながります。
ウェブサイトの技術的なエラーを修正する
リンク切れや、クロールエラー、モバイルサイトの欠陥は、ランキングに悪影響を及ぼす可能性があります。
サイトの技術的な問題を特定し、解決することでオーガニック検索のパフォーマンスを向上させます。新たなエラーが発生した場合に備えて、通知されるアラートも設定しておきましょう。
サイト内エンゲージメントを最適化する
魅力的なコンテンツとわかりやすいナビゲーションを提供することで、訪問者の滞在時間を延ばし、サイトへのエンゲージメントを高めることができます。これにより、検索エンジンにも「関連性の高い有益なサイト」であると評価されやすくなります。
また、関連ページへの内部リンクや、行動を促す効果的なCTAを設置することで、ユーザーの回遊率を向上させることが可能です。 さらに、Google Analyticsなどの分析ツールを活用して主要なエンゲージメント指標(平均滞在時間、直帰率など)を追跡し、データに基づいた改善を継続的に行いましょう。
競合他社を調査する
あなたの業界やニッチで成功している競合サイトを分析することは、オーガニック検索で上位を狙うための重要なヒントになります。彼らがどのようなキーワードをターゲットにし、どのようなコンテンツや被リンク戦略を活用しているのかを調べましょう。
また、タイトル構成や内部リンク設計、ページ速度などの最適化手法を観察することで、自社サイトに不足している要素や改善のチャンスが見えてきます。競合分析から得た知見をもとに差別化を図り、より高品質なコンテンツでSEO上の優位性を築くことができます。
ロングテールキーワードをターゲットにする
競争の少ない具体的なロングテールキーワードを狙うことで、検索結果で上位に表示されやすくなります。 たとえば「スニーカー」よりも「黒いメンズスニーカー サイズ27cm」のような検索語句をターゲットキーワードに設定することで、購買意欲の高いユーザーを効果的に獲得できます。
まずはこうしたロングテールキーワードで確実にトラフィックを増やし、サイト全体の評価を高めながら、中長期的には競争の激しいショートテールキーワードの上位表示を目指しましょう。
SEOトレンドを把握する
検索エンジンのアルゴリズムは常に進化しており、ページエクスペリエンス・コンテンツの深さ・執筆者の専門性など、新たな評価要素が導入されています。これらの変化に対応するために、最新のSEOトレンドを継続的に学び、戦略を柔軟にアップデートしていくことが重要です。
業界のブログ・ニュースレター・ポッドキャストを定期的にチェックし、新しいツールや手法を試しながら、自社のSEO戦略を常に最新の状態に保ちましょう。継続的な情報収集と改善こそが、長期的なオーガニックトラフィックの成長につながります。
まとめ
本記事では、オーガニックトラフィックの基本から、増やすための具体的な戦略までを解説しました。オーガニックトラフィックは、広告費をかけずに持続的な成長を実現できる重要な集客源です。
内部施策やテクニカルSEO、質の高いコンテンツ、被リンク戦略を組み合わせることで、検索エンジンからの信頼と可視性を高められます。継続的な改善とデータ分析を行い、変化するSEOトレンドに対応しながら、長期的な集客基盤を築いていきましょう。
よくある質問
オーガニックトラフィックは無料?
オーガニックトラフィックは、有料広告のようにクリック単価でのコストなどはかかりませんが、トラフィックを生成するにはコンテンツ制作、SEO戦略、その他のベストプラクティスに投資する必要があります。これらの要素を管理する時間や専門知識がない場合は、コンサルタントを雇うことを検討してください。
オーガニックトラフィックをどのように計測する?
オーガニックトラフィックは、Google AnalyticsやSearch Consoleなどの分析ツールを使って確認できます。これらのツールでは、検索エンジンを通じて自然検索からあなたのウェブサイトを訪問したユーザーを「オーガニック検索(Organic Search)」として分類します。
オーガニックトラフィックは長期的なSEO効果をもたらす?
オーガニックトラフィックが継続的に発生しているサイトは、検索エンジンからの信頼性と評価が高まり、長期的な可視性向上につながります。安定した自然流入があるほど、検索順位の維持・向上が期待でき、結果的にブランド認知やコンバージョン率の増加といった持続的なビジネス効果をもたらします。
技術的な知識やコーディングスキルなしでオーガニックトラフィックを増やすことは可能ですか?
技術的なSEOの知識は有利ですが、必須ではありません。コンテンツ制作・キーワードリサーチ・被リンク構築といった基本的な施策に取り組むことで、専門的なコーディングスキルがなくてもオーガニックトラフィックを着実に増やすことができます。
オーガニックトラフィックは他の流入経路よりもコンバージョン率が高い?
オーガニックトラフィックの訪問者は、検索エンジンを通じて自ら情報や解決策を探している能動的なユーザーであることが多く、他のトラフィックタイプに比べてコンバージョン率が高い傾向があります。
文:Takumi Kitajima





