WordPress(ワードプレス)は、世界中で使用されているCMSで、Webサイトを作れるだけでなく、ECサイトの開設や運営に役立つプラグイン(拡張機能)も豊富に備えています。
プラグインを使えば、WordPressで作ったサイトを簡単にECサイト化でき、Shopify(ショッピファイ)の販売管理機能と連携させたり、デジタルコンテンツやサブスクリプションサービスを販売したりできます。しかし、読み込み速度に影響を及ぼすものもあるなど、プラグインを選ぶ際は注意すべき点もあります。
この記事では、ネットショップ作成におすすめのWordPressプラグインと、その選び方やポイントを紹介します。
WordPressのECサイトプラグイン7選

1. Shopifyの購入ボタン(Buy Button)
Shopifyの購入ボタン(Buy Button)は、Shopifyと連携したカート機能や商品詳細の表示機能をWordPressサイトなどに設置できるプラグインです。
既存サイトを活用しながら、Shopifyの決済機能や在庫管理機能を利用できるので、新しいECサイトを立ち上げる手間がかかりません。利用料金はShopifyのプランに含まれているため、追加費用も不要です。
購入ボタンの設置方法は以下のとおりです。
- Shopifyの管理画面の設定から「アプリと販売チャネル」を選ぶ
- アプリストアで「購入ボタン」と検索し「Buy Button channel」をインストールする
- 「販売チャネル」カテゴリーの「Buy Button」を選択し、「購入ボタンを作成する」をクリックする
- 「商品購入ボタン」を選ぶ
- ボタンに紐づける商品を検索機能またはカタログから探して「選択」をクリックする
- 「次へ」をクリックし、「コードをコピー」を選ぶ
- クリップボードにコードがコピーされるので、購入ボタンを表示させたいウェブページのHTMLに組み込む
購入ボタンタイプの選択画面で「コレクション購入ボタン」を選択すると、Shopifyのコレクションに登録された商品の購入ボタンを一括で作成できます。
また、購入ボタンは商品に合わせて以下のカスタマイズも可能です。
- 商品のバリエーションを選択する
- ボタンのデザインを変更する
- ユーザーがボタンをクリックした際のアクションを変更する
- 同じブラウザタブで決済画面を開くようにする
2. WooCommerce
WooCommerce(ウーコマース)は、WordPressを活用してECサイトを構築するためのプラグインです。2025年9月時点で世界450万以上のサイトで利用されており、オープンソースのため基本機能は無料で利用できます。ECサイトに必要な機能は一通りそろっており、商品数や訪問者数にも制限がありません。
主な機能は以下のとおりです。
ショップ管理
ショッピングカート
- 注文手続き
- カート管理
- クーポン作成
決済・配送
- 配送オプションの設定
- 決済方法の選択
- 消費税率の設定
分析・レポート
- 在庫レポート
- 売上レポート
- 顧客分析
また、拡張機能を追加することで以下のような機能も利用できます。
- SNS連携
- 会計ソフトとの同期
- 定期購入商品の販売
- 海外のECモールとの連携
拡張機能の一部は有料であるため、確認のうえ追加しましょう。
3. Easy Digital Downloads
Easy Digital Downloads(イージー・デジタル・ダウンローズ)は、WordPressでデジタル商品を販売したい方におすすめのプラグインです。
電子書籍や音声データ・PDFファイルのようなデジタル商品に特化しており、ダウンロード販売機能をウェブサイトに追加できます。コンテンツにはファイルへのアクセス権限やアクティビティの追跡機能などを搭載することも可能です。
セットアップウィザードが用意されており、初心者でもその指示に従って簡単に設定できるので、すぐに利用を開始できるでしょう。
商品登録や販売以外の主な機能は以下のとおりです。
PayPalやGoogle Pay、Apple Payなどさまざまな決済方法とも連携できるため、ユーザーが自分に合った方法で商品を購入できます。基本機能は無料で利用できますが、拡張機能を利用する場合は、年額199ドルから999ドルまで(初年度割引あり)の4プランが用意されています。
4. Welcart e-Commerce
Welcart e-Commerce(ウェルカート イーコマース)は、日本企業が提供しているプラグインで、国内では2万7000サイトの導入実績があります。商品の登録や注文の管理をWordPressの管理画面から行えるだけでなく、標準で会員機能やポイント機能、セキュリティ機能などを備え、ダウンロードコンテンツや定期購入商品の販売にも対応できます。
また、オープンソースとして提供されているため利用料は無料で、プログラミングの知識があれば独自機能を自分で追加できるカスタマイズ性も特徴です。有料プランでは、サイト構築やメンテナンス、機能カスタマイズ、サーバーホスティングなどのサービスを利用できます。
5. MemberPress
MemberPress(メンバープレス)は、WordPressサイトで会員制サービスやサブスクビジネスを構築する際におすすめのプラグインです。会員レベルに応じたコンテンツへのアクセス制限から、会員ごとの料金やお試し期間などの詳細なカスタマイズ、決済処理まで全般的に対応できます。
主な機能は以下のとおりです。
- 無制限の会員作成
- 会員へのメールマガジンの発行
- クーポンコードの作成
ただし、利用する際には359〜799ドルの年会費(初年度は50%オフ)を支払う必要があるため注意しましょう。無料トライアル期間として14日間は返金保証がされているので、導入に悩んでいる人にもおすすめです。
6. Ecwid Ecommerce Shopping Cart
Ecwid Ecommerce Shopping Cartは、WordPressサイトでネットショップを始めるのに必要な機能を搭載したプラグインです。年額300ドルで100種類、年額1260ドルで無制限に商品を販売できます。
また、以下のような複数の販売チャネルとも連携できるので、一元管理で効率的な販売が可能です。
電話および24時間365日対応のチャットのカスタマーサポート(英語)が設けられていることに加え、有料プランでは無料コンサルティングや優先サポートも受けられます。クレジットカード業界のセキュリティ基準であるPCI DSSレベル1の認定を受けているため、安全にカード決済が利用できることも特徴です。
7. カラーミーショップ WordPressプラグイン
ECサイト構築サービスのカラーミーショップのシステムを利用するプラグインで、ショップに登録された商品情報を基にWordPress上での商品ページを自動作成してくれるほか、XMLサイトマップ(検索エンジン向けのページ情報)の出力機能も追加できます。
商品管理やショッピングカートの機能はカラーミーショップのシステムを利用するため、同サービスの契約が必須となります。すでに同サービスを利用しているユーザー向けのプラグインといえるでしょう。
WordPressのECサイトプラグインを選ぶ方法

WordPressにECサイトプラグインを導入する際は、ポイントを押さえて適切なプラグインを選びましょう。
1. 必要な機能を把握する
ECサイトに必要な機能をリストアップすることで、ビジネスモデルに合った機能を導入できます。主な機能は以下のとおりです。
- ショッピングカート機能:商品の選択と購入までの流れを管理する
- 決済機能:クレジットカードや電子マネーなどの支払い方法に対応する
- 管理機能:顧客情報や在庫、注文情報を管理する
- お問い合わせフォーム:ユーザーからの質問や要望を受け付ける
- マーケティング機能:SEOやSNSなどを使って商品の販売を促進する
ショッピングカート・決裁・管理の3つは必要不可欠な機能です。お問い合わせフォーム機能には、メールのほかチャットなどでリアルタイムにやり取りできるものもあり、マーケティング機能にはSNSとの連携や販売傾向の分析機能などがついていることもあります。
プラグインによって機能はさまざまなため、どのような機能を重視するか事前にリストアップしておくことで、ビジネスに合ったプラグインを選べるでしょう。
2. プラグインの互換性とツールとの統合性を確かめる
既存のWordPressサイトで使用されているテーマや、すでにインストール済みのプラグイン・SEOツールなどによっては、新しいプラグインの追加が不具合やトラブルの原因になる可能性もあります。
プラグインをインストールする前に、公式ページでWordPress本体や主要プラグイン、テーマとの互換性情報を調べておきましょう。
ただし、互換性に問題があっても、プラグインやテーマのアップデートで対応できる場合もあります。
3. デモや無料お試し期間を利用して動作をチェックする
デモや無料お試し期間を利用して、機能や使い勝手を事前に確認することも重要です。プラグインの多くがデモや無料トライアル期間を設けているため、本格的な導入前に実際に操作して動作を確認できます。
また、サポート体制についてのチェックも欠かせません。質の高いQ&Aやサポート体制があれば、万が一不具合やトラブルが発生しても安心して利用できるでしょう。
WordPressのECサイトプラグインを利用するデメリット

1. セキュリティ面の不安がある
WordPressなどで構築されたECサイトはソースコードが公開されているため、悪意あるハッカーからの攻撃リスクが高くなる傾向にあります。脆弱性に関する最新情報が出回るスピードも早いので、深刻な被害を受ける危険性も少なくありません。
そのため、定期的なバックアップをとったうえで、WordPressを最新バージョンにアップデートし、安全性の高いプラグインを選ぶ必要があります。専用のセキュリティプラグインの導入も検討しましょう。
十分なセキュリティ対策ができない場合は、セキュリティが万全なShopifyのようなECプラットフォームに切り替えることも選択肢の一つです。
2. 決済方法の種類が少ない
WordPressは、機能の制約や相性により最新の決済方法を導入できない可能性があります。昨今のECサイトユーザーは自分に合った決済手段を求める傾向が強いため、決済方法の選択肢が限られていると、カゴ落ちなどの機会損失につながることも少なくありません。できる限りさまざまな決済方法を用意しておきましょう。
3. カスタマイズに専門知識が必要な場合がある
WordPressのプラグインをカスタマイズする際に、専門知識が必要になる場合があります。たとえば、テーマをカスタマイズするにはHTMLとCSSといったウェブページ構成用言語の知識が必要です。また、機能の追加や改修にはプログラミング言語であるPHPの知識も求められます。さらに、悪意ある攻撃からサイトやユーザー情報を守るには、幅広いセキュリティ知識も欠かせません。
WordPressのECサイトプラグインを選ぶ際のポイント

1. サイトの読み込み速度に影響がないか
プラグインを導入することでサイトの読み込み速度が遅くなってしまうと、ユーザーが離脱してしまう可能性が高くなります。動作が重くなるプラグインは避けることと、不必要なプラグインはインストールしないようにしましょう。
使用していないプラグインがあれば、アンインストールすることで読み込み速度が改善されます。
2. ユーザーレビューは問題ないか
レビューに悪いコメントの多いプラグインは、不具合やトラブルを引き起こす可能性があります。新しいプラグインを選ぶ際は、必ずレビューを見てから導入を検討しましょう。
ただし、肯定的な評価しかない場合、開発元がレビュアーにコメントを指定している可能性もあります。客観的な視点で、メリットとデメリットがバランスよく書かれたレビューを参考にするのがおすすめです。また、古いレビューは最新のアップデートを反映していないことがあるため、新しいレビューを参考にしましょう。
3. カスタマーサポートは設けられているか
カスタマーサポートが設けられていれば、万が一トラブルや不具合が発生しても迅速に対応できます。メールやチャット、電話などで専門家に相談できれば、ウェブサイトの技術的な問題の解決や運用に関する相談まで可能となるでしょう。
4. 価格は問題ないか
優れた機能を備えていても、プラグインの利用料が予算を超えてしまうと、WordPressで安価にウェブサイトを構築しても投資利益率(ROI)が下がってしまい、ECサイトの運営に支障をきたす可能性があります。ただし、安いオプションを利用した結果、機能面に制約が出たり不具合の発生リスクが高まったりするケースもあるので注意が必要です。
まとめ
WordPressサイトにECサイト機能を追加するプラグインには、デジタルコンテンツに特化したプラグインや複数の販売チャネルと連携したプラグインなど、さまざまなプラグインがあります。しかし、中には既存のサイトやテーマとの相性が悪く不具合が生じるものや、読み込み速度への影響が出るプラグインもあるので、デモや無料お試し期間を活用して確かめておくと良いでしょう。
WordPressでECサイトの開設を考えている人は、ぜひこの記事を参考に、適切なプラグインを導入してください。
よくある質問
WordPressのECサイトプラグインにはどんな機能が必要?
WordPressでECサイトを構築する際には、以下のようなプラグインが必要です。
- ショッピングカート機能
- 決済機能
- 管理機能
- お問い合わせフォーム
- マーケティング機能
プラグインを利用することで、WordPressサイトを簡単にECサイトとして活用できるようになります。
WordPressでブログを始める方法は?
WordPressでブログを始める方法は以下のとおりです。
- レンタルサーバーを契約する
- 独自ドメインを取得する
- WordPressをインストールする
- 初期設定をする
- テーマを設定する
- プラグインを導入する
- 記事を作成し、公開する
WordPressは、手順に従うことで、初心者でも簡単にブログを始められます。
WordPressをECサイト化するプラグインのおすすめは?
WordPressをECサイトとして運営するためのプラグインでおすすめなのは、以下の7つです。
- Shopifyの購入ボタン(Buy Button)
- WooCommerce
- Easy Digital Downloads
- Welcart e-Commerces
- MemberPress
- Ecwid Ecommerce Shopping Cart
- カラーミーショップ WordPressプラグイン
文:Norio Aoki





