ユーザーの満足度が高く、好印象を与えられるECサイトを実現するために、UIデザインの改善は重要な要素の一つです。UIデザインの改善は、コンバージョン率の向上や離脱防止にも有効です。
一方で、「UIデザインが何かが良くわからない」、「どのように改善をしていったらよいか具体的なやり方が見つからない」という声も少なくありません。この記事では、UIデザインの基本と、重要性、UXデザインとの違いを解説していきます。優れたUIデザインの要素についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
UIデザインとは

UIデザインとは、ソフトウェアやアプリ、ウェブサイトにおいて、ユーザーの操作を円滑にするために、わかりやすく操作性に優れたレイアウトや見た目をデザインすることです。UIは、ユーザーインターフェイス(User Interface)の略称で、広義では家電製品やゲーム、自動車などデジタルインターフェイス全般がUIに含まれます。ここでは、ホームページやECサイトなどのウェブサイトに焦点を当てます。
UIを構成する主な要素は以下の通りです。
UIデザインにおいて重要なのは、見た目の美しさだけでなく、直感的に操作がしやすいかという機能面です。「サイトをまた訪れたい」、「使いやすい」、「快適にページを閲覧できる」と思ってもらえるよう、デザインを最適化することを目指します。
UIの種類

UIは、主に以下の5種類に分類されます。
- GUI(Graphical User Interface):画像やイラスト、アイコンなどを使い、マウスなどで操作ができる要素のことです。直感的な操作を促しやすいという特徴があります。
- CUI(Character User Interface)またはCLI(Command Line Interface):文字で操作する要素のことで、キーボードでコマンド入力を行い動作を指示します。主にプログラマーやエンジニアが使用します。
- VUI(Voice User Interface):音声で操作するUIのことです。デバイス内蔵または外付けのマイクを使って音声を認識し、操作を行います。代表例としては、Apple(アップル)のSiri(シリ)やWindows(ウインドウズ)のCortana(コルタナ)が挙げられます。
- TUI(Tangible User Interface):形のない情報を触れるようにしたUIです。教育現場などでも活用されるUIで、クリアボードに書いた絵や文字を遠隔地にも表示させることができます。
- NUI(Natural User Interface):直感的に操作ができるUIのことで、スマホやタブレットなどのタッチ操作や、前述のVUIも含まれます。
UIデザインが重要な理由

UIデザインが重要な理由は、主に以下の3つです。
コンバージョン率や商品購入率の向上につながる
UIデザインが良いサイトは、コンバージョン率の向上や商品購入率のアップにつながります。ユーザーは少しでも操作しにくいと感じたり、わかりにくいと感じた場合にサイトから離脱する傾向にあります。可能な限り多くのページを快適に閲覧してもらうために、ユーザーが使いやすいUIを意識してデザインすることで、コンバージョン率の向上が目指せます。ECサイトの場合には、UIデザインの改善により、商品購入につながるケースも少なくありません。
顧客満足度に直結する
ウェブサイトの操作性の良さは、顧客満足度に直結します。ウェブサイトでの体験そのものがブランドや企業へのイメージと重なるため、UIデザインが優れていると顧客満足度も上がりやすい傾向にあります。一方で、操作性が悪く情報がわかりにくいUIを採用していると、配慮が足りないブランドや企業であるといった悪いイメージが付きやすくなります。良いブランドイメージを保つためにも、UIデザインにこだわったサイト作りが重要です。
差別化が図れる
多くのブランドがウェブサイトやECサイトを運営している現在では、UIデザインの改善は差別化のチャンスでもあります。競合分析を行い、業界内の他社サイトの強みや弱みを理解することにより、より使いやすいUIデザインを実現しましょう。類似商品やサービスを提供している場合、消費者は快適に操作できるサイトを選ぶ傾向にあるため、UIデザイン改善による差別化が可能です。
UIデザインとUXデザインの違い

UIデザインが「ユーザーが接するインターフェイス」に着目しているのに対し、UXデザインは「ユーザーの体験や経験に重きを置いている」点が異なります。UIとUXの違いは、主に以下の2点です。
- 範囲:UIはユーザーとの接点となるインターフェイスであるのに対し、UXは画面上の要素や見た目だけでなく、これらを通して得られる体験全てを指します。そのため、UXはUIを内包していると言えます。
- 対象:UIはデジタルインターフェイスを対象とするのに対し、UXはウェブサイトだけでなく商品やサービス、顧客対応などの全ての体験が対象となります。
eコマースのUXデザインは、サイト構築のプロセスの最初に行われます。それに対し、UIデザインは、UXデザインのなかでも視覚的要素に特化して、快適な操作性を実現できるように視覚的要素やレイアウトをデザインしていきます。
UIデザインで意識すべきポイント9つ

1. 現状を可視化する
ユーザーが今どのページを閲覧していて、どのような操作を行っているか、商品購入中の場合はどのステップにいるのかがわかるように可視化します。現状を可視化することで、状況を把握しやすくなり、次に行うべき操作が明確になって、混乱や誤操作といったストレスを軽減することにつながります。現状の可視化には、具体的に以下の施策が考えられます。
- パンくずリストを表示して、どのページにいるかを示す
- 問い合わせフォームにプログレスバーを設置して、フォーム送信までの進捗状況を示す
- ECサイトで、カートに追加した商品数と合計金額を表示する
2. ユーザーに馴染みのあるデザインにする
ユーザーが普段から見慣れているメールやカートのピクトグラム、親しみやすい言葉遣いなど、馴染みのあるデザインを行います。ユーザーに寄り添った言葉遣いを採用することで、安心して記載されている事項を読み進められるだけでなく、内容も理解しやすいでしょう。また、問い合わせには「封筒」、削除には「ゴミ箱」のように、一般によく使用されるピクトグラムを使うことで、迷わず次の操作をしやすくなります。
3. ユーザー主導で操作ができるようにする
誤操作の際に簡単に元のページに戻る、自由に商品を追加したり削除したりできるなど、ユーザー主導で操作ができるUIも重要です。操作が制約されていると感じてしまうと、ユーザーは離脱する傾向にあります。問い合わせやアンケートフォーム入力中に中断できるように「中断する」ボタンを用意したり、ポップアップを非表示にする「閉じる」ボタンを設置しておくなどの工夫が考えられます。
4. 直感的に操作ができるようにする
優れたUIは、ユーザーがストレスなく直感的に操作ができる必要があります。ユーザーが普段ウェブサイトを閲覧する際によく目にしている以下の要素を活用することで、迷わず操作ができるようになります。
- 視覚的階層を付ける:タイトルは文字を大きく太字にする、商品タイトルは色を変える、など視覚的に情報の取捨選択をしやすくします。
- 視線を誘導する:ユーザーの視線移動のパターンを活用して、トップページはZ型のレイアウト、商品ページはF型レイアウトを採用します。
- プレースホルダーを活用する:個人情報の入力や問い合わせフォーム入力の際に、入力欄にあらかじめ例文や記入すべき内容の説明を表示させることで、迷うことなく入力作業が行えます。
5. 一貫性を保つ
デザインの一貫性を保つことで、ユーザーは違和感を覚えることなくサイトを閲覧できます。ボタンの色やサイズ、配色、使用するピクトグラムなど、サイト全体を通して一貫した要素を使います。また、ページ上部にメニュー、ページ下部には会社情報という一般的なデザインの慣習に従うことも重要です。
6. 正常な動作かエラーかがひと目でわかるデザインを採用する
正常に機能しているのか、もしくはエラーが起きているのかがひと目でわかるデザインは、ユーザーに安心感を与えます。例えば、ボタンの上にカーソルを乗せると、ボタンサイズや色が変わるアニメーションを採用したり、問い合わせやアンケートフォームで未入力の項目を色分けしたりすることもできるでしょう。
7. デザインの基本4原則を守る
以下のデザインの基本4原則を守ることで、より優れたUIを実現できます。
近接
関連性のある事項や情報を近づけるレイアウトです。例えば商品ページの場合、商品名と商品画像、価格、購入ボタンなどを近づけて表示させることで、商品情報をまとまりとして捉えることができるようになます。ブログ記事などでは、段落のタイトルと内容を近づけ、各段落の間には余白を設けることで、より読みやすくなります。
整列
商品画像は同じサイズで表示させる、文字は左揃えにする、ボタンは中央に配置するなど、要素を整列させることで見やすいデザインとなります。整列を意識することで、サイトの要素に統一感が生まれ、視認性や操作性が向上します。
コントラスト
フォントの色や大きさ、背景色との色の差、画像の形や大きさなどを目的に合わせて調整することで、メリハリを出せます。タイトルやキャッチコピーなど重要な情報は文字を大きくする、価格は赤で表示することでひと目でわかるようにするなど、さまざまな工夫が可能です。
反復
同じレイアウトの要素を繰り返し使用することで一貫性が生まれ、情報が理解しやすくなります。例えば商品ページは、タイトル、画像、価格の順に全て同じレイアウトを採用する、ブログ一覧ページはタイトルとサムネイル、導入文が表示されるようにするといった方法があります。また、タイトルに使うフォントを統一する、ボタンやアクセントに使用する色を統一するなど、タイポグラフィやカラーの反復も効果的です。
8. シンプルにまとめる
余分な情報や要素を取り除き、シンプルにまとめることでユーザーがより快適に操作ができるUIとなります。色を使いすぎたり、装飾が多すぎたりすると、情報が整理しにくくなり、ユーザーの視認性を下げてしまう危険性があります。そのため、重要な情報や主要な機能に絞り込んで、シンプルで洗練されたデザインを目指しましょう。
9. よくある質問ページやユーザーガイドを準備する
ユーザーが困った時にすぐ回答が得られるよう、よくある質問(FAQ)ページやユーザーガイドを準備しておきましょう。ユーザーの不安要素を取り除く効果があり、サイト離脱を防ぐ効果が期待できます。
まとめ
UIデザインとは、ソフトウェアやアプリ、ウェブサイト上でユーザーが円滑に操作ができるよう、レイアウトや見た目をデザインすることです。UXデザインと混同されがちですが、UIデザインがユーザーが接するインターフェイスに着目しているのに対し、UXデザインはユーザーの体験全体を指すという点が異なります。
UIデザインは、コンバージョン率や商品購入率の向上につながるだけでなく、顧客満足度にも直結します。競合他社との差別化を図ることもできるため、UIデザインにこだわったサイト作りが重要です。UIデザインを行う際には、ユーザーが直感的に操作できるよう、馴染みのあるデザインを採用したり、一貫性を保ったりする必要があります。さらに、デザインの基本4原則を守る、正常な動作かエラーかがわかりやすいデザインを採用するといった配慮も重要です。
これから新規サイトを立ち上げたり、サイトリニューアルを行ったりする場合には、売れるECサイトのデザインやECサイトのデザイン事例も参考にしながら、より良いUIデザイン実現を目指しましょう。
よくあるUIデザインに関するよくある質問質問
UIデザインとUXデザインの違いは?
UIデザインとUXデザインの違いは、UIデザインがユーザーが接するインターフェイスの最適化を目指すのに対し、UXデザインはユーザーの体験や経験をより良くするためのデザイン最適化を指す点です。UIデザインはUXデザインの一部に含まれます。
UIデザインで意識すべきポイントは?
- 現状を可視化する
- ユーザーに馴染みのあるデザインにする
- ユーザー主導で操作ができるようにする
- 直感的に操作ができるようにする
- 一貫性を保つ
- 正常な動作かエラーかがひと目でわかるデザインを採用する
- デザインの基本4原則を守る
- シンプルにまとめる
- よくある質問ページやユーザーガイドを準備する
UIデザインを見直すタイミングは?
新たにサイトを立ち上げる場合を除いて、UIデザインを見直すタイミングは以下の通りです。
- アクセス解析の結果が伸びない、または悪化している
- ブランド戦略を変更する予定がある
- 競合環境が変わった
- 新たな商品やサービスを提供する予定がある
- デザインや機能が古くなってきた
UIデザインを見直す場合には、デザインの最新トレンドも参考にすると良いでしょう。
生成AIでUIデザインはできる?
生成AIを使ったUIデザインは可能です。AIをeコマースで活用する方法は増えてきていますが、以下の点に注意が必要です。
- 必要なUIデザインを生成できるようプロンプトを工夫する
- データや機密情報の取扱いに気を付ける
- 結果を人の目で確認し、調整する
文:Masumi Murakami





