フードビジネスへの新規参入は難しいと感じている方も多いでしょう。しかし、さまざまなニーズに答えるために、食品ビジネスは成長を続けており、小規模なフードビジネスでも新たなチャンスは常に存在します。
この記事では、いますぐ始められるフードビジネスアイデア12選と小規模フードビジネスを始めるための7つのステップを解説します。フードビジネスの例やフードビジネスの課題も紹介しているので、挑戦してみたい方はぜひ参考にしてください。
今すぐ始めるための12のフードビジネスアイデア
1. フードトラック

フードトラックは、飲食業界の新規参入手段として人気が高まっており、その成長スピードは従来のレストラン業態を上回っています。
フードトラックビジネスは、オリジナルメニューを提供しながら、各地に移動できるという柔軟性を兼ね備えています。そのため、イベントやフードフェスティバルなど自分から出向くことが可能となり、従来のレストラン経営と比べ、認知度の拡大と新規顧客の獲得が図りやすいのが特徴です。
メリット
- 移動性:フードトラックビジネスでは、繁華街・公園・イベント会場・観光地など、人が集まる場所に合わせて柔軟に出店できます。これにより、立地による集客の制限を受けにくくなります。
- クリエイティブな自由度:初期費用が低コストで、シェフのオリジナルメニューや世界観の表現が容易です。
課題
- 法制度の把握と適応:キッチンカーの開業には「飲食店営業許可」や「食品衛生責任者資格」が必要です。また、手洗い設備や給排水タンクなど、保健所の定める基準を満たす必要があります。ほかにも、公園利用申請や道路使用許可などが必要となるので、各自治体に必要な許可などを確認しましょう。
2. アイスクリームショップ
アイスクリームは、フローズンヨーグルトやソルベ、ジェラートなど幅広いスタイルがあり、ほとんどのデザートと組み合わせて提供できる柔軟性があります。豊富なレシピアイデアやバリエーションがあるため、ターゲットを絞ったニッチな市場にも適しています。

アイスクリーム業界の販売実績は2024年度に過去最高の6,451億円を記録しており、2010年以降、ほぼ毎年売り上げが伸び続けています。気候変動による暑さの長期化や、スイーツ需要の多様化も追い風となっており、今後も安定した成長と収益が期待できるフードビジネスの一つです。
メリット
- クリエイティブな自由度:アイスクリームはフレーバーやトッピング、製法の組み合わせがほぼ無限にあり、創造力を活かした商品開発が可能です。特に独自性を重視する起業家にとっては、ブランドの世界観や個性を表現しやすい業態といえます。
課題
- 季節による売り上げの変動:夏に高い需要があるアイスクリームですが、冬には売り上げが落ち込みやすい傾向にあります。ただし、季節に応じたフレーバーの展開が可能で、工夫次第で課題解決ができます。例えば、秋にはパンプキンスや芋のフレーバー、冬はホリデーシーズンに適した高級感のあるフレーバーなど、季節感を活かした商品展開で年間を通じた集客が期待できます。
3. 料理教室

料理教室はレッスンの提供形態が多岐にわたり、一人ひとり丁寧に教えられる小規模な料理教室から録画した動画講座を販売する方法までさまざまです。さらに、SNSでレシピ投稿をして、インスタライブのような不特定多数の人が参加できるようなライブイベントを行うことも可能です。
日常のレシピからスイーツレシピ、オーガニックレシピなど、料理教室でもニッチな分野を開拓することで可能性は無限です。スキルレベルに関係なく、他者に教えることは自分の料理スキルを向上させ、顧客やユーザーとの信頼関係を築く良い機会となります。
メリット
- 拡張性:料理教室は、受講者との個人的なつながりを起点に発展させやすいビジネスです。教室運営に加え、自身のブランドを活かして関連商品やサービスを展開することで、さらなる収益の拡大が期待できます。
課題
- 露出の必要性:料理講師として活動するには、自身の顔や名前を積極的に発信していく必要があります。そのため、自分自身を表に出すことに抵抗がある方は、顔出しなどが不要なビジネスモデルを検討したほうが良いでしょう。
4. パーソナルシェフ
パーソナルシェフは出張料理人とも呼ばれており、自宅でプロの料理人による食事を提供したい顧客が利用します。また、食事制限に特化した食事の提供やイベントのために雇われるケースもあります。
パーソナルシェフとして活動する場合、営業力が不可欠です。そのため、プロの料理人でありながら、営業スキルも身についている方には向いているフードビジネススタイルでしょう。
メリット
- 関係構築:クライアントとの継続的な関係構築を求められるフードビジネスなので、営業経験を活かしやすいビジネスです。
課題
- 新規参入のハードルが高い:ほかのフードビジネスと比べて、より多くのスキルと実務経験が必要です。ライバルとの差別化のためにも実績や専門性を磨くことが大切です。
- スケジュールの不規則性:顧客のスケジュールに合わせて働く必要があるため、ほかのフードビジネスよりも時間的な制約が大きくなる可能性があります。
5. コーヒーショップ
コーヒーショップは、実店舗での展開からオンライン販売に特化したモデルまで、資金規模やコンセプトに応じて多様なスタイルで運営できるビジネスです。
コーヒー自体がすでに多くの人々の生活に深く根付いており、日常的なルーティンとして定着しやすい飲料であるため、新しい味や抽出方法への挑戦も柔軟に受け入れてもらえる特性があります。そのため、定期的にお気に入りのコーヒー豆やブレンドを購入できるサブスクリプション型サービスや、特定のライフスタイル層をターゲットにしたブランディングも可能で、幅広い顧客層を取り込めるポテンシャルがあります。
また、コーヒー豆のドロップシッピングを利用すれば在庫を抱える必要性がなくなり、初期費用や固定費を抑え、利益率を重視した経営を図ることができます。
メリット
- 小規模ブランドの優位性:コーヒー市場は顧客層が広く、嗜好も多様なため、個性や世界観を持った小規模ブランドが支持されやすい環境にあります。サステナブルな調達や地域密着型のストーリーなど、明確なコンセプトを打ち出すことで、大手にはない差別化が可能です。
- 新規参入しやすい:ドロップシッピングなどを活用することで、初期費用や固定費を抑えながらフードビジネスを始めることができます。
課題
- マーケティングが難しい:コーヒーは非常に広く流通しているため、商品そのものでは差別化しづらく、明確なターゲット設定やブランドの世界観を打ち出し、ニッチ市場を狙うことが競争力の鍵となります。しかし、ブランドづくりやマーケティングに不慣れな場合は、他社との差別化が難しく、販売が伸び悩む可能性があります。

Kurasu Kyotoは、Shopify(ショッピファイ)のECプラットフォームを活用し、オーストラリア向けに日本雑貨を販売するオンライン事業としてスタートしました。その後、コーヒー器具に特化した販売に移行し、豆のサブスクリプション型サービスを取り入れて事業を拡大していき、最終的には京都に実店舗を構えるカフェ業態へと展開するまでに成長を遂げています。
6. ミールキット
ミールキットは、事前に分けられた材料とレシピを提供する食品配達ビジネスの一種です。高品質な料理を自宅で簡単に作れる便利さから近年人気が高まっています。
ミールキットは、 基本的にサブスクリプション型のサービスで販売し、定番の人気ミールキットからコラボ商品や新商品などを定期的に提供します。サブスクリプションの場合、セット販売または顧客が作りたいミールキットを選択して購入する形式が一般的です。
メリット
- 新規参入のしやすさ:ミールキットは比較的新しいビジネスであるため、ほかのフードビジネスよりも新規参入しやすい傾向にあります。
- ニッチな分野:特定の食品や料理に特化したミールキットなど、ニッチな分野の開拓余地が残っています。
課題
- 生鮮食品の配送:ミールキットは鮮度が大切なため、鮮度を保てる配送方法を検討する必要があります。
- 賞味(消費)期限:賞味・消費期限が短すぎるものは好まれない傾向にあります。簡単に料理を完結させたい、新しい料理に挑戦してみたいという顧客もいますが、忙しい日のお助けアイテムとして利用する顧客も多いため、傷みやすい食材の利用は工夫が必要です。

Oisixは、有機野菜の宅配からスタートし、現在では時短・簡便・栄養バランスを重視したミールキット事業「Kit Oisix(キットオイシックス)」で大きな成功を収めています。共働き世帯の増加や健康志向の高まりを背景に、調理の手間を減らしつつ安心・安全な食事を提供できる点が支持され、コロナ禍以降は定期利用者が急増しました。ECを軸にしたD2Cモデルとサブスクリプションの組み合わせにより、安定した収益基盤を築いています。
7. ベーカリー
ベーカリーは、最も古いタイプのフードビジネスの一つです。パン、クッキー、ケーキ、ペストリー、パイなどを組み合わせたベーカリーや、グルテンフリー(小麦不使用)や卵不使用など、特定のアレルギーに対応したニッチ向けのベーカリーなど、幅広い選択肢があります。
国内ベーカリーの市場規模は2023年度で1兆6,629億円に達しており、2028年には1兆8,903億円まで拡大すると予想されています。これにより、今後も安定した需要と成長が期待される分野といえます。
メリット
- ニッチな分野に特化した新規参入が可能:アレルギー対応や低糖質などの食事制限、健康志向などに特化したベーカリーは、需要に対して供給できるベーカリーがまだ十分でない分野です。そのため、このようなニッチ市場では競合が比較的少なく、新規参入のハードルが低い傾向にあります。
課題
- 人件費がかかる:ベーカリーは、仕込みから焼成、包装、販売まで多くの工程があるため、1人での運営には限界があり、人手が必要となるケースが多い業態です。その結果、人件費が固定費のなかでも大きな割合を占める傾向にあります。
- コストがかかる:ベーカリーの運営には、高温対応のオーブンや発酵機、ミキサーなどの専門的な製パン機器が必要となるため、初期投資や維持費が比較的高額になります。その結果、事業が軌道に乗るまでに一定の時間を要する可能性があり、資金繰りや収益化のスピードに注意が必要です。

BASE FOODは、完全栄養食品に特化した企業として2016年に創業し、「BASE PASTA(ベースパスタ)」や「BASE BREAD(ベースブレッド)」を開発しました。BASE BREADは、1食あたりに必要な栄養素の3分の1を摂取できるパンとして注目され、健康志向の高い消費者や忙しいビジネスパーソンのニーズに応える形で市場に定着しています。サブスクリプションの定期配送を中心に、楽天市場などのECモールでの販売や、全国のコンビニエンスストアなどでも販売するほどの事業拡大を達成しています。
8. フードロス削減レストラン・店舗
フードロス削減レストランとは、廃棄される予定だった食材や規格外品などを積極的に活用し、持続可能な形で料理を提供する飲食店のことです。見た目に問題があるだけで品質に問題のない野菜や、賞味期限が近づいた食品など、通常の流通では廃棄されがちな食材を仕入れ、創意工夫によって美味しく調理することで、環境負荷を軽減しながら価値を生み出す業態として注目されています。
廃棄予定の食材を使ったレストランだけでなく、売れ残った食材の有効活用に取り組むプロジェクトを地域全体で立ち上げたり、廃棄予定の生鮮食品・レトルト食品・飲料などを通常の半額以下で販売するECモールが誕生したりと、フードロス削減に貢献するフードビジネスも増えています。こうした取り組みは、食品ロスを社会課題として捉え、流通・販売・消費をつなぐ新たな仕組みづくりとして注目されています。
メリット
- 社会貢献できる:社会的意義のある取り組みを通じて企業やブランドの好感度を高められます。「環境に配慮した選択肢」を顧客に提供できることで、共感を生みやすく、リピーターの獲得やメディア露出にもつながりやすいのが特徴です。
- 低コスト:規格外品などの低価格な食材を活用できることから、仕入れコストを抑えつつ収益性を確保できる可能性があります。
課題
- 安定性と安全性:仕入れの安定性や、食材の安全性や鮮度管理において、通常以上に厳密な運用が必要です。

Kuradashiは、食品の廃棄を減らすことを目的に、まだ食べられるにもかかわらず廃棄予定となっている商品を割安で販売するプラットフォームです。生産者やメーカーは廃棄コストを削減でき、購入者は産地直送の食材や、通常は手に入りにくい高価格帯の商品をお得に購入できるメリットがあります。さらに、売り上げの一部を社会貢献活動に寄付しており、環境や社会課題に関心を持つ消費者から高い支持を集めています。
Kuradashiの支援レポートによると、この取り組みによりフードロス削減量は28,365トン、CO2削減量75,195t-CO2、経済効果138億61万円を達成しており、社会貢献とビジネスを両立させるモデルは、フードロス削減に関心のある個人事業主や企業にとって、非常に参考になる事例といえるでしょう。
9. ベビーフード

ベビーフードは、離乳食が始まる生後6か月から、完全食に移行する1歳半頃までを中心に活用されるフードビジネスです。月齢に応じて食材のやわらかさや大きさ、味付けを細かく調整する必要があるため、家庭での調理には手間と時間がかかるのが実情です。そのため、短期間であっても日常的に市販のベビーフードを活用する家庭が多く、一定期間、継続的に購入されやすい商材といえます。
さらに、離乳食期を過ぎた後も、子ども用スナックやスムージーパウチなど、外出時や家事の合間に子どもが一人でも食べやすい商品へのニーズが高まっています。こうした商品展開により、離乳期終了後の顧客離れを防ぎ、長期的な収益化につなげることも可能です。
メリット
- リピート購入:ベビーフードは一度信頼を得るとリピート顧客を得やすく、ブランドロイヤルティを築くのに適しています。
- 市場の多様性:現在、オーガニックベビーフードやアレルギー対応など、さまざまな食事制限に対応したベビーフードの市場が大きく、ニッチな分野の開拓や挑戦の機会が多くあります。
課題
- 信頼の構築:赤ちゃんの食品に関しては、消費者は大人の食事よりも慎重になる傾向にあります。ブランド認知度を高め消費者からの信頼を新たに得ることが、最大の課題となるでしょう。
- 少子化への対応:ベビーフードは少子化の影響を受けやすいため、「質」や「多様性」に重点をおいた事業設計が求められます。
10. 手作りジャム
手作りジャムは、自分で新鮮な農産物を育てている農家の方や食材にこだわって作りたい方にとって、低コストで始めやすいビジネスです。自分で材料を育てることで、コンセプトが顧客に響きやすく、ファン化がしやすい傾向にあります。
また、自身でジャムを製造できない場合でも、こだわりのあるジャムやコンセプトにあったジャムを仕入れて販売する方法もあり、既製品を仕入れて販売する場合は許認可が不要なため、会社員でも土日にできる副業や副収入を得られるサイドビジネスとして、簡単に在宅ビジネスを始められます。
メリット
- 素材や材料にこだわる:大手ブランドのジャムは大量生産や賞味期限を長くするために保存料が多く、栄養価が少ない傾向にあるため、健康面や味の面で不満を持っている顧客が存在します。そのため、素材の旨みを活かした手作りジャムはそのような不満を持っている顧客にアプローチできるため、小規模ブランドでも優位性があります。
課題
- 時間管理:農産物から育ててジャムを製造する場合は時間がかかり、季節の変化に影響を受けるため、ほかのフードビジネスよりも不安定になりやすくなります。
- 許認可の取得:手作りジャムを販売するには、「食品衛生責任者」が必ず必要になります。「密封包装食品製造業許可」や「製菓材料等製造業許可」も必要になるケースがほとんどのため、詳しい要件を保健所に確認しておきましょう。
11. オーガニックレストラン・食料品店
オーガニックレストランやオーガニック食品専門の食料品店は、農薬・化学肥料・食品添加物などを使用しない自然由来の食材や製法にこだわった商品や料理を提供する業態です。健康や安全に対する関心が高まるなかで、特に小さな子どもを持つ家庭や、アレルギーがある人、サステナブルなライフスタイルを重視する層から、根強い支持を得ています。
メリット
- 競合との差別化:独自の仕入れルートや生産者との直接契約によって、他店や競合との差別化がしやすいという傾向があります。
- 自由度が高い:オーガニック食材を使用した惣菜・弁当・スイーツなどをサブスクリプションやD2Cモデルで展開できるなど、商品開発や販売チャネルの自由度が魅力です。
課題
- 管理の難しさ:オーガニック食材は一般的に原価が高く、安定供給が難しいため、価格設定や在庫管理には慎重な設計が求められます。
- マーケティング:オーガニックの定義や品質への消費者理解にもばらつきがあるため、わかりやすく誠実な情報発信や、店舗の世界観づくりが重要となります。
12. グルメインフルエンサー
グルメインフルエンサーとは、SNSやブログ、YouTubeなどのプラットフォームを通じて、飲食店の紹介や料理のレビュー、食に関する情報発信を行う個人やクリエイターのことを指します。高級レストランやスイーツなど特定のジャンルに特化することで、フォロワーの信頼を獲得し、飲食店とのタイアップやPR案件を通じて収益を得るビジネスモデルが確立されています。
スマートフォンとSNSの普及により、個人でも飲食店の集客に大きな影響を与える存在となりつつあり、企業や店舗側もマーケティング戦略の一環としてインフルエンサーの起用を積極的に行うようになっているため、食べ歩きの趣味をビジネスとして確立することも可能です。
メリット
- 手軽に挑戦できる:グルメインフルエンサーは、副業として資金なしでも挑戦しやすいフードビジネスです。飲食店で食事する費用はかかりますが、一定数のフォロワーを獲得できれば収益化が可能なため、学生起業やスモールビジネスとして人気があります。
課題
- ファンの獲得に時間がかかる:SNSのフォロワーやブログの読者を獲得するには一定の時間がかかり、短期間で成果が出るとは限りません。「価値ある情報提供」と「個性ある表現力」が求められるなかで、例え投稿への反応が薄くても、継続的に発信し続ける姿勢が信頼構築とファン獲得に重要です。コンテンツの質と一貫性が、グルメインフルエンサーとしての成長を左右します。
小規模フードビジネスを始めるための7つのステップ
1. コンセプトを決める
どの商品を、誰に、どのように届けるのかを明確にしましょう。
まず、ターゲットとなる顧客を具体的に決めます。年齢、家族構成、ライフスタイル、価値観、悩みや課題などをもとに、どのようなサービスを求めているのか明確に描き出します。例えば、「子どもに安心して食べさせられるオーガニック商品を求めている家庭」や「休日にひとりでも気軽に本格的な料理を楽しみたいと考えている層」など、具体的なニーズを持つターゲットを設定することで、フードビジネスに必要な要素が見えてきます。
次に、提供方法を検討します。キッチンカーや定期配送型のサブスクリプションサービス、実店舗の運営など、複数の形態が考えられます。あわせて、提供価格帯も設定しておきましょう。ターゲットによって適正な価格は異なるため、顧客一人あたりの予算を想定し、現実的な価格設定を行うことが重要です。
また、競合調査も欠かせません。競合と同じサービスを提供する場合、新規顧客を獲得するのは難しいでしょう。そのため、競合他社が提供している商品・サービスの特徴や価格帯、顧客層などを把握し、自社がどのポイントで差別化できるかを明確化する必要があります。
2. 商品アイデアを検証する
フードビジネスの種目が決まったら、そのビジネスに潜在的な市場があることを確認します。
市場の存在を確認する手段としては、以下のような方法があります。
- アンケート調査:想定するターゲット層に対してオンラインや対面でアンケートを実施し、ニーズや購入意欲を把握できる
- 業界レポートや統計データの活用:市場規模や消費動向、今後の成長性などを客観的に把握できる
- Googleキーワードプランナーなどを使った検索ボリュームの確認:ユーザーがどのようなキーワードで情報を探しているかを分析し、関心度の高いテーマを把握する
- ポップアップストアやイベント出店によるテストマーケティング:実際に商品を提供し、顧客の反応や購買行動を観察することで、リアルな需要を確認できる
また、潜在顧客と直接会ったり、試食会を行ったりしてフィードバックやリアルな声を収集することも効果的な方法です。SNSや既存のコミュニティに参加して、顧客の悩みや市場の需要を調査することも、アイデアの可能性を深く検証することに役立つでしょう。
3. ビジネスプランを作成する
商品アイデアを検証したら、 ビジネスプランを作成します。ビジネスプランは、フードビジネスの商品やサービス、収益化の方法、資金調達、スタッフ、ロジスティクス、その他の重要な詳細をまとめる計画書です。作成することで事業アイデアが明確になるだけでなく、事業開始後の進捗状況の確認にも活用できます。また、個人事業主向けの補助金を申請する場合なども、ビジネスプランの提出が求められます。
ビジネスプランの作成には、Canva(キャンバ)やMoney Forward(マネーフォワード)などが提供しているテンプレートを活用すると、必要な情報の記載忘れを防ぎながら効率的に作成できるのでおすすめです。
良いビジネスプランは、正しいスタートを切るために非常に重要なので、時間をかけて作成しましょう。
4. ブランディングを実施する
ブランディングは、競合他社との差別化に非常に重要です。特に、小規模なフードビジネスにおいては、限られたリソースのなかで潜在顧客の興味を引き、記憶に残る存在となることが成功のポイントになります。
ブランディングの具体的なステップは以下のとおりです。
- ターゲット層を明確にし、コンセプトを固める
- 自社の強みを分析する
- ブランドストーリーを作成する
- ブランドアイデンティティを決める(ロゴ、カラー、フォントなど)
- KPIを設定し、ブランディングの質と精度を高める
ターゲットの顧客像を明確にし、そのニーズや興味関心を深く理解し、一貫性のあるビジュアルやメッセージを通じて、ブランドの個性や世界観を的確に表現しましょう。単なる商品ではなく、「どんな価値観を持った人が、どんな想いで作っているか」「どんなライフスタイルに寄り添うものか」を伝えることで、顧客との共感を生み出しやすくなります。
5. 販売経路を確保する
ブランディングができたら、 どのような販売方法で食品事業を運営していくかを決める必要があります。実店舗を構えるのか、ネットショップを開業して商品を販売するのか、キッチンカーで移動しながら販売するのかなどを決め、それに向けた販売体制や設備などの準備をしなければいけません。自社の事業内容と相性のいい販売経路を選ぶようにしましょう。
また「ネットショップ×実店舗」など、複数の販売チャネルを持つことで、リーチの拡大や収益増加につながる可能性があります。
6. 必要な許認可・資格を取る
フードビジネスを始める際には、業態に応じて必要な許可や届出が異なるため、計画段階から正確に把握し、漏れなく手続きを行うことが重要です。
例えば、食品をネット販売する場合は「食品衛生法に基づく営業許可」が必要になるケースがほとんどです。ほかにも、食品衛生責任者や食品衛生管理者などの資格取得が求められることもあります。
これから始めるビジネスにどのような許認可・資格が必要かを事前に保健所や関連機関に相談し、できるだけ早めに準備を進めることで、スムーズな事業立ち上げにつながります。
7. 顧客を獲得する
顧客獲得に向けて、SNSマーケティングや有料広告などを活用しましょう。
また、インフルエンサーに依頼するのも有効な手段の一つです。信頼されているインフルエンサーからの紹介は、商品やブランドの認知拡大・購買促進につながりやすくなります。ほかにも、フードビジネスによってはSNSよりもブログが適しているケースもあります。最適なフードビジネスマーケティングの戦略は、ブランディング、ターゲット顧客、商品、参入する市場など、さまざまな要因によって異なります。複数のチャネルを試しながら、ブランドに最も効果的な方法を見つけていく姿勢が重要です。
まとめ
フードビジネスは常に進化しており、新たな商品やビジネスモデルが次々と誕生しています。健康志向や環境意識の高まり、ライフスタイルの多様化といった社会的背景も追い風となり、特定のニーズに応えるニッチな分野には、大きな成長の余地があります。供給が追いついていない市場や、まだ十分に対応されていない食の課題に着目することで、新規参入であっても十分に成功が狙える可能性があります。
重要なのは、明確なコンセプトと適切なターゲット設定、そして継続的な改善と発信です。
小さく始めて柔軟に成長させていく姿勢が、これからのフードビジネスにおいて成功の鍵となるでしょう。
よくある質問
フードビジネスとは?
フードビジネスとは、食べ物にかかわるすべての仕事や事業のことです。最近では、グルテンフリーやオーガニック食品、ミールキット、フードロス削減など、新しい考え方やスタイルのフードビジネスも増えています。
フードビジネスで稼ぐためには?
フードビジネスで稼ぐためには、低コストでリスクの少ないビジネスを運営することが重要です。例えば、コーヒー豆の販売のようなドロップシッピングに対応した商品であれば、在庫を抱える必要がなく、人件費・管理費・物流コストを最小限に抑えられるため、利益率が高くなる傾向にあります。
小規模で始めるのに最適なフードビジネスは?
小規模で始めるのに最適なフードビジネスは、初期費用があまりかからないビジネスです。例えば、手作りジャムやグルメインフルエンサーなどは比較的低コストで始められます。
文:Momo Hidaka





